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素晴らしい技術も所詮は危険物である

2014/09/23 投稿

 夏休みもやっと八月に入った頃。また家に閉じ篭って魔法の研究に取り組んでいた。

「はぁ、疲れた」

 床には失敗した魔法の起動式を書いた紙がそこらに散乱し、いくつかは空調の風で舞い上がったりしている。自分でもよくこれだけ書いたなと思うが、これまでに成功したものはまだ十にも満たない。しかし歴史に名を残すつもりもなければ、本にすることも考えていない。ただ純粋に楽しいからやっている。

「でも疲れるのは疲れるんだよなぁ」

 当初とは変わって適当に生活はしながらのことなので、身体が悲鳴を上げるという類のものではない。精神的な方である。

「ちょっと休憩するか」

 自室からテレビのある部屋まで移動する。部屋を出る時に何枚か失敗した魔法の起動式が目に入る。魔法には系統という形で、拘束系や干渉系にと呼び方は人により様々であるが、それぞれに特色がある。だが魔法には起動式をその都度発動させなくてはならないという欠点が存在する。

「魔法の自動発動ってわけじゃないのかも知れないか」

 俺は未だに感じたことがないが、人には個々に得意とする魔法がある。その人にとっての得意魔法は、格段に効力が増すということらしい。そして愛崎礼音の主に得意とするそれは。エスケープオブウィムプと彼女自身が名付けた、全ての魔法を破壊する効力もつ魔法であるらしい。どう考えてもチート魔法だが、俺はこれに疑問を感じていた。

 そもそも系統の異なる魔法を等しく無力化することは可能なのかという点だ。これは愛崎たちが素質と呼ぶ、魔力というもの自体を無力化するのだろうと考えた。

 そこで俺は思いついた。統合系の魔法はどうだろうと。いくつかの起動式を合わせ、別の効果を得る魔法を創り出す。俺ならそれができる。

「そう思ったんだけど」

 現実は甘くはないようで、数個の簡単な起動式を創るのには成功したが、より強い効力を持つ魔法を目指した起動式は、考えていた以上に難しい。

「誰かに相談できたら良いのに」

 風里家当主にも釘を刺されたが、魔法を創る技術というのは非常に珍しいらしい。故にその技術を持つ中で、俺が才能ある人材なのかさえも不明だ。まぁ技術が広がってしまえば、どこからともなく戦争が生じそうなので、俺も誰にも言わないようにしている。

「あいつらにだけなら」

 口に出してみて、考えを掻き消す。面倒事にわざわざ巻き込むような真似をする意味もない。行き詰まったなら自分でその壁を越えれば良いだけだと決心した矢先のこと。

 青山八千が怪我をしたという電話連絡を受けたのだった。

さぁ来ますよ!

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