何言わせようとしてんだ、この野郎!
2014/09/17 投稿
どこぞの皆様もお分かりだと思うが、体育館で少女と魔法男子がやりあえば当然のことながら教師団に情報が行き渡り、こうして反省文なるものを書くことになる。
「君たち本当にやってくれたな」
魔法については曖昧というか報告した生徒が、どう伝えていいかわからなかったようで、結局のところ阿木先生にしか伝わっていないようだった。
「それにしても、どうして先生は魔法を使ったってわかったんですか」
「数人が動画で撮影していたからだ。まぁ一応は削除させておいた」
こんな言葉使いをしているが、阿木先生はどう見ても女性だ。妙に男勝りな話し方をするのが気になっているところではある。まぁ興味ないけど。
「魔法を使うのは君たちの自由だが、学校で問題になるようなことはしないことだ。私の言い訳にも限界がある。せめて事前に伝えるくらいにはしてくれ」
「伝えたらやっても良いんですか?」
「良い訳無いだろ!」
物凄い勢いで開き戸を閉めて行った。この件で今から会議があるらしい。
「ま、心配しなくても大丈夫だよ。この学校って、優秀な生徒は何やってもお咎めなしだからね」
「それお前の体験から言ってるか?」
入口を叩く音が来客を知らせたのは、そんな会話をしていた時だった。
「どうぞ」
「あ、どうもです」
中町さんが真っ先に動いて、来客の女子生徒を招き入れる。
「えっと私は」
「待って」
彼女を言葉を遮って、愛崎が手を翳して止める。
「ねぇ祐希。彼女を分析してみよ」
「なんでそうなる」
「そんなことは気にしないの。とりあえず私からね」
そう言って、適当に女性であること。あの時に体育館に居たこと。魔法に興味があること。動画を撮影した生徒の一人であることなどを言い当てる。まぁ妥当なところだろう。
「ど、どうして私だってわかるんですか?」
「私たち第二生徒会は、活動実態のほとんど生徒に知られてない。あの騒ぎで知った人も多いんじゃないかな。で、唯一の特定方法が阿木先生に会うことだからね。それじゃ祐希の番ね」
阿木先生が顧問を務めるのは、ここヒマ部だけであるので、各教室に張り出された部活動一覧を見れば、自然とここに行き着く。
「俺もやるのか?」
「そうだよ。やるんだよ。はい、彼女何カップ?」
「び…………何言わせようとしてんだ、この野郎!」
ちょっと言っちゃったような気がしなくもないが、まぁギリギリセーフだよな?
「まぁ気を取り直してやるか」
改めて彼女を観察するが、愛崎が言ったこと以外に大したことはわからない。なので、ちょっと魔法を使って不正することにする。頭の中に精神干渉系統の魔法の起動式を思い浮かべる。やはり魔法を使うのに慣れて来たのだろう。一秒ほどの間で起動式が弾け飛ぶのを感じる。
「名前は、青山八千。趣味は、散歩。陸上部の部員もしくは元部員。魔法に関しては、ほぼ無知。最近カラオケに行って、喉を痛めてる。あと、何かあるか?」
「で、彼女何カップ?」
「最近Bに……って、何言わせてんだよテメェ」
「祐希、魔法使ってるでしょ」
そりゃ初対面の青山さんの近況までわかってるとなると、ただの変態かストーカーになるところだ。可能性は魔法を使っているしかないとバレるのは仕方ない。てか青山さんそんなに怯えないで。
「あー青山さん落ち着いてね。祐希は別に変質者でも変態でもストーカーでもないと思うから」
「ほ、ほんとですか?」
泣きそうな顔で俺に向き直る。はい。すみません。調子乗りすぎました。
「人って無意識に相手の言葉に反応して、記憶を思い出すんだ。その呼び起こされた断片記憶を魔法で読み取っただけなんだ」
既に魔法は解いているが、それでもわかるほどに彼女は魔法という言葉に反応する。興味を抱いているというよりは、焦燥感というかそんな焦りの混じった様子を見せる。
「あ、あの。私に魔法を教えてください!」
文章に若干投稿していいのか迷う部分がありましたが、もういっちゃいます。




