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予想は外れることがある

2014/09/16 投稿

 ある日の放課後に演出された決闘の結果は始まる前から目に見えていた。だが自らの力を最大限に使って戦う。例えその相手が可憐な美少女であろうとも。

「やるな」

 今のところ、俺の魔法が無力化される様子はない。それどころか干渉する様子さえない。魔法の制御を脳に直結しているので、干渉されればすぐにわかるのだ。

「魔法を使っても、祐希は私に追いつけてないね」

 運動はそこそこで決して音痴ではないと、常日頃から思っている俺であるが、この数分間だけでも彼女と比べて圧倒的な差があることがわかる。魔法の炎を利用した高速移動も、俺が認識できる速度が限界値と等しい。しかし愛崎礼音には、それでも追いつけない。

「お前、実は結構凄いんじゃないか?」

 格闘技に関わらず人間は身体を動かそうとすると、どう動こうとするかによって必ず初期動作がある。そのために俺でも至近距離で彼女の拳を避けられる。

「そうかも、ね」

 ほぼ初期動作なく繰り出される彼女の上段廻し蹴り。危ない場面が何度かあったが、魔法のおかげで当たらずに済んでいる。

「お前の蹴り当たったら死にそうなんだけど」

「ちゃんと手加減してるから、大丈夫だよ」

 それでかよ。思わず呟きたくなるくらいのものだが、そんなことを呟く暇もない。何故かと言われれば、まもなく試合終了の瞬間が訪れたからだった。

「う……あれ、やば……」

 少し距離を取るために後ろに飛び、飛距離を伸ばそうと魔法を操作した瞬間だった。彼女に一発貰ったわけではない。しかし突然に意識が遠のいて行く。魔法の制御が途切れ、炎が消滅していくのが倒れる途中に見える。どうしてか身体にも力が入れられない。

「よいしょ」

 いつの間にか近くに来ていた中町さんに受け止められるが、身体に力が入らずに倒れ込む。

「大丈夫?」

「やばいかも」

 ゆっくり体育館の床に下ろされた。ただ気力で意識が途切れるのを防ぐ。頭に強烈な疲労感と殴られたような痛みを感じる。

「魔法を無理に使いすぎるからです。その様子だと魔法を同時に使ったんじゃないですか?」

 風里さんが俺の変わりに原因を分析してくれている。

「そうだけど、五分くらいは行けると思ってんだ」

「もしかしてですけど、同時に魔法を常時五分間も発動しようと思ってたんですか?」

 まだ身体に力が入らず起き上がれないので、軽く首を振る。

「あぁギリギリ四分しか持たなかった」

 その発言を聞いた途端に風里和佳の表情が、呆けた様子から驚愕の様子に忙しなく変わる。

「すみません。私の予想の遥か上でした」

 その後は三人の手によって部室運ばれ、起き上がることができるまでに数時間かかった。保健室に行くと事情を聞かれるので、部室に運んだとのことだ。まさか魔法の使いすぎです、なんて言えないからだろう。

 勝負は愛崎が引き分けということにしようと言い出したので、結局は引き分けということなった。…………生きて良かった。

ちょっと進みました?w

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