眠さは最高潮だった
2014/09/13 投稿
俺が今まで部活動に参加しなかった最大にして最大にして最大の理由は、自由な時間を拘束されるからだ。休みにも関わらず、呼び出されてから学校までの道を行く間というのは面倒極まりない。これだから部活動ってのは嫌なんだ。やりたいことがあっても、学生なので部活動を優先しなくてはならない場合も、これから多々あることだろう。
「それで面倒くさいと思いながら来たわけだが」
机を囲んで、皆で別々の一枚の紙を見ている。内容は同じようだ。
「祐希にも用意してるからね。早く見てみて」
「なんだこれは……とりあえず説明してくれ」
俺が見た限りでは数学のようにも見えるが、魔法の起動式にも見える。やっぱり疲れてるんだろうか。
「三年生からの依頼なんだけどね。この難しい問題を解けるかって、前にクイズ同好会に展示してたやつが、突然来た一年生に解かれちゃってね。新しく展示する問題だから、参考にしたいってことらしいね。それで私たちで考えてたんだけど、全くわからないってわけ」
「あぁ。眠すぎて頭の働いてない俺でもわかるんだが、お前絶対にわかってんだろ、愛崎。どうして俺を呼んだ」
「いや、本当にわからないんだけど」
一つ目は四桁の数字と答えの規則性。二つ目は九つの点を四本の直線で結ぶ系のやつ。最後の数独は、よく見る世界一難しいとか言うやつだろう。
「とりあえず自分で考えた問題とか。そういうのでも展示しろって伝えろよ」
ちなみにだが、一つ目は数字の丸の数が答え、二つ目は矢印の型に直線書き、最後の数独に関しては適当にやれば解けるだろう。多分だが数独に関しては俺でも解けないかも知れない。
「うん。じゃあ前のクイズを解いた人が、そう言ってるって伝えるね」
知ってたのかよ、お前。
「ちなみに三年の誰だ?」
「生徒会長で三学年主席の春宮柚華さんだね」
「…………言い方に気をつけて伝えてくれ」
またニヤニヤと薄ら笑みを浮かべる彼女。この顔が何を意味しているのかは、彼女のみが知っていることだろう。
「うん。わかった。それじゃ本題ね」
そういう顔だったのか。愛崎が数枚の紙にビッシリと文字が書かれた冊子をみんなに配る。
「空間干渉系統魔法による物質生成の可能性と錬金系統魔法の確立。これはお前が書いたのか?」
読み進めると考え込まれたものであるとわかる。最終的に途中までの実験には成功してるということがわかった。
「みんなぶっちゃけ、どう思うかな」
何とも言えなかったが、最初に口を開いたのは風里さんだった。
「礼音のこれでは物質生成は無理です。反重力の形成は未だに実現していません。斥力と引力を魔法の影響を受けない状態で、維持する技術についても、この方法では事実上は不可能です」
簡単に言えば、ボロカス言ってる。俺が来るまでは、風里さんがこの担当だったのだろうか。
「私もそう思う」
「俺もそっちは二人に同意する。でも錬金系統の魔法は、方法を変えればできそうだと思う」
しっかりと自分の本心から意見を言っておく。これが本気で取り組んだ人間への礼儀だろう。
「どうしてそう思うの?」
「魔法には発動条件がある。起動式はもちろんだが、魔法は空間や対象物を認識する力がある。それはつまり小さな単位でも認識されるってことだ。だから…………」
昼を少し過ぎた頃に始まったこの研究会は最終下校時間まで続いた。秘技的魔法研究部という名に恥じない活動ではあるが、ヒマ部としては異例の真面目な活動であった。先に言っておくが、眠すぎて内容はもう覚えてない。
さっさと主人公を寝かせてやろうと思いますが、もう少し頑張ろうヽ(*´∀`)ノ




