朝から妹の説教とか誰得
焔がお風呂からあがった十分後、俺は椅子に正座という奇妙な座り方をしていた。
『ねぇ、お兄さん』
『な、なんだい焔?』
俺はテーブルに背筋を伸ばして座りながら、背中に汗をかいていた。
『この黒い物体はなんですか』
何故かというと焔がお兄さん呼びするときは決まって怒っている時なのだ。
『な、何ってやだなー。ただのスクランブルエッグじゃないか』
『これのどこがスクランブルエッグですか!ただの炭素じゃないですか!お兄さんの頭の中身スクランブルですか!』
『元はといえば、お前が自分の下着も管理できないからだろ...』
『人のせいにしないで下さい!』
焔は自分が作れない為、人に作ってもらうしか出来ないので、いつもは何も言わないが、失敗した料理だけにはうるさいのだ。
『こうなったもんは仕方ないだろ』
『こうならないようにしてください!』
『誰かさんがタオル1枚で風呂からあがらなければ、こうならないっての』
ここで「なら焔が作ってみるか?」とでも囁けば終わるのだが、妹の弱みにつけこむのは兄として躊躇われるのだ。
『もう分かりましたけど、それでもこのラインナップはどうにかならなかったんですか?』
そのラインナップはと言うと、炭素の塊とほうれん草のお浸しに冷や奴と、とても悲しい物だった。
『仕方ないだろ、コンビニは遠いしデパートはまだなんだから』
我が家は俗に言う住宅街に住んで居る為、あまり近くにコンビニが無い。マジで家しかない。
デパートもあるにはあるが九時からなので中学生では遅刻してしまう。
『とにかく今日はこれで堪えてくれ。お昼は購買か食堂で食ってくれ』
『もぉ...分かったよ。とりあえず食べよ』
『そうだな』
『....ておい!もう出なきゃヤバイ時間じゃねぇか!』
『え、あーホントだ!大変急いで食べなきゃ!』
『食べてる暇ねぇよ!早くいくぞ!』
『あ、おにぃふぁんひょっほまっておー』
『自転車じゃ無理だ、バス停まで走るぞ!』
『『もう、なんて日だ(よ)!』』
その後、バス停に着いたが、ギリギリでバスには間に合わなかった...。
『次のバスじゃギリギリアウトってところか...はぁ。ついてないぜ』
相変わらず慌ただしい十六夜たちは遅刻せずに学校へつくのか?!
次回へ続く。




