師弟関係
フレンド登録を済まして、二人で一回街に戻った。空腹度がもう限界値にいきそう。
『あの、DarkKnightさ』
『何かな?あと呼びにくかったら適当に呼んで』
『じゃダートで』
『ダート?!なんか分かんないけどバカにされてる気がする?!』
『ちなみにdirtには砂や泥って意味があるわ』
『やっぱバカにされてた!』
『とにかくダートさん。僕実はこのゲーム何も知らないで来たから色々教えて欲しいんだけど』
『ダートはともかく俺なんかでいいの?』
『あなたしかこのゲーム知ってる人いないもの』
『なら頑張って教えてあげるよ』
『たすかるわ』
なんか成り行きでこんな事なったけど俺大丈夫かな?なんて思いつつ何から教えようか考えていると
『まずは安い宿屋と食事屋教えて貰える?』
『そんな事ならおやすいご用で』
この町のマップと宿屋、その付近の食事屋を思い浮かべて一つ聞き忘れてたことがあるのを思い出した。
『何か宿に注文はある?風呂があるとか』
その時、隣のアカネがビクッとなりながら硬直してしまった。
『えっと、アカネ?』
反応が無いので少し肩を揺すったら意識が戻ってきたみたいだ。
『ごめんなさい。もう一度さっきの言って貰える?』
『お風呂の話しかな?』
『…ゲームなのにお風呂があるの?』
どうやらホントに調べてきてないみたい。よく買う気になったものだ。
『このゲームはVRMMOで初めてお風呂を作ったゲームで有名だぜ?』
『なら有りでお願いするわ。一泊幾らくらいか分かる?』
『だいたい30Gだね。ゲーム内は8時間で昼夜が入れ替わるから結構お世話になるよ』
『お風呂有りだと普通よりやっぱ高いの?』
『まぁ寝るだけなら5Gってところあるからね』
『理不尽だわ…』
『まぁ仕様なら仕方ないさ。そんな事より何か食べなきゃやばいな。確かあっちにハンバーガー店が』
京都のように十字路が多い道を真ん中の大通りを北に行き、角を左に曲がった所にそれはあった。現実でもよく嗅ぐ匂いが鼻をくすぐる。店には新しく某ハンバーガーチェーン店の名前があった。スポンサーにでもなったのだろう。匂いが似てたのはそのせいか。
アカネ(茜)と十六夜の出逢いはこんな事だった。