表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magicians Useful Tring Online  作者: 桐ヶ谷 雅輝
エピソード壱 新たな冒険と仲間
17/27

出逢い

だらだら寝たい今日この頃。

若い男の声が聞こえるのとミミックが氷の壁を突き破るのはほぼ同時だった。


氷の壁が間に入ったせいでミミックの動きが少し遅れたのを見逃さず、僕は速度魔法を使いつつ、右後ろに跳ぶ。


ミミックは氷の壁などものともせず突っ込んで来ている。それなのに、氷に反射した初期装備に身を包んだ青年は笑っていた。


氷の間をよく見ると電気が網のように流れていたのに気がついた。ミミックなどは麻痺や毒などの状態異常に弱いからなんだろな。

ミミックはもちろん感電して床に落ちた。が、やはりレベル差があるのか麻痺はしなかった。


『俺がこいつ貰っても良いかな?』

青年は何か企んでいるようなにやけた顔をして聞いてきた。その顔が何か分からないが、腹立たしくてつい強く当たってしまった。


『モンスターは先に見つけたもの勝ちでしょ。引っ込んでて』

『でもさっきの壁無しで避けれたかな?』

『それとこれとは話しが別でしょ』

ミミックが青年も敵とみなしたのか3mはある長い舌で青年を潰そうとしたが、先ほどよりも厚い氷に阻まれ、氷に宿していた電気がミミックに流れる。


『でもこうして攻撃されてるし』

『じゃ逃げれば良いじゃない』


ミミックの噛みつきや、舌の振り回しを避け、あまり使用しなれてない風魔法をミミックに当てつつ、青年に言いはなった。


『でもこんな層じゃミミックはレアだし、経験値やアイテム欲しいしね~』


青年は魔法のレベル上げか避けずに氷の壁で防ぎ、電気を当てている。


『パーティー今だけ組んで手を打たないかい?共闘ペナルティもあるし』


そう。このゲームはパーティーが二つ以上で一体のモンスターを攻撃するとペナルティでステータスが下がるのだ。


僕は迷ったが早くいなくなって欲しかったので

『…分かった。この戦いだけよ』

と言ってしまった。


『りょーっかい』と軽い感じで青年が答える。慣れた手つきでメニューを操作し、ほんの2秒ほどでパーティー申請がきた。

承諾して、視界左上の自分のHPバーの下に、青年の名前とHPバーが現れる。


『えっと…ダークナイト?あなたってもしかして中二病なの?』

あまりのネーミングセンスに引いてしまったが、ミミックが噛みついてきたのでイナバウアーで避ける。

『いやいや違うから。でもカッコイいべ?』

『まず魔法オンリーの世界でナイトが有り得ない』

『うっ…』

『しかもその普通な顔で言われても』

『ぐはっ』


青年がダメージを喰らっているのはゲーム的にではなく、精神的にである。誰か彼のネーミングセンスに共感して慰めてやってほしい。


落ち込んでるわりには、とても反応はよくまだノーダメージである。


『君はAkaneか…アカネで読み方合ってる?』

『合ってるよ。とりあえずよろしくダークナイト』

『こちらこそ、アカネ』


二人の戦いが始まるのはここから。

しかし少々長ったらしいので割愛。


三十分ほど戦ってようやくミミックに勝った頃にはアイテムもスカスカで空腹度もレッドゾーン突入である。


『いや~やっぱおいしいわぁミミック。Lvが一つ上がったよ』

『僕は一度も戦闘しなかったから2上がったわ』

『それにアイテム手に入ったしラッキー』


実際、二人とも同じ量のアイテムが渡されたのでだいたい50Gにもなるだろう。一匹でこれなのだから確かにおいしい。 


戦いが終わって冷静になって思ったが、何故僕は譲らず戦ったのか。

彼は僕をあの時、助けようとしたのか。

色んな疑問が頭に浮かんでいった。


       


いつもなら速度魔法を使ったフルスロットルで逃げ切るのだが、今回はしなかった。

彼がレアだと言ったせいか?確かに僕は人と違う物が好きだがそれだけだ。


考えすぎかも知れないが、彼に無意識に僕が引き留められた。そう思った。

面白い奴だと思い、気がついたら

『やっぱりフレンドを組もう』

と言い出していた。彼は驚いたようだが僕の方が内心ビックリしていた。


しかし、驚いたのも一瞬で、すぐにほほえみながら

『こちらこそお願いするよ、アカネ』


それが彼と僕の出逢いだった。


      *


戦闘が終わり、俺は驚いていた。

(こんな反射神経のいい女の子がいたなんてな)


そう、彼女は常人より動きが早いのだ。回避も速度魔法を使っているが余裕がある。

今回だけと言っていたが、どうにかゲーマー部に入れたい所と考えていたらあちらから

『やっぱりフレンドを組もう』

と言ってきた。


タイミングが良すぎて少々驚いたが、すぐにいつもの顔に戻して返事を返す。


もしかしたら今日でゲーマー部員が5人になるかもな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ