ほのぼのソロプレイ
再度ログインした俺は、宿屋から出て商業NPCを探していた。
それはもちろん、さっき手に入れたアイテムを売りさばくためだ。あと、このゲームは長い間ログインしてるとお腹が減るので食用アイテムも買わなければいけない。
さっき肉を落とさなかったのかだって?逆に聞くがあんたは生肉を食べるかい?
そうゆうことさ。食材があっても料理しなければ意味がない。料理するには調理器具が必要になってくるのだ。これはとてもじゃないがすぐには揃えられない。最初から料理一択でやるには問題じゃないが。
出店も出せるが初心者向けの出店用カーペットが高いうえに小さいのでみんなもっと高い屋台を買ってしまうのだ。
お、あの頭の上にあるカーソル…水色だ!やったね探してた商業NPC発見!
『すいません買い取り良いですか?』
『おうあんちゃん!久しぶりじゃないか』
『えぇ久しぶりですね』
顔見て気がついたがなんとβで何度かお世話になってる奴だった。場所変わらないで欲しいなもう。しかし、AIの進歩もすごいなぁ違和感なさすぎ。
『今日は何くれるんだいあんちゃん?』
『これとこれとこれですね』
目の前に現れた交換窓をいじって素材を全部入れる。
『いつもあんがとな。サービスでこれでどうだい?』
トレード欄には250G入っていた。初期にしてはちょい高値だ。
『充分過ぎます、ありがとうです』
『また来なよあんちゃん!
残念ながらあのNPCは素材を基本としているようで食料は売ってなかった。仕方ない。後3時間位は保つだろうしいっか。
10GのMP回復用と15GのHP回復用ポーション(三角フラスコみたいな)を10個ずつ買った。だがもったいないので非常用だ。
非戦闘中にそこらに座って休んでいれば速くはないが回復するから最初は用途が無いだろう。
MPポーションを一つだけ腰のポーチに入れて西に向かった。
残金がちょうど空になってしまったので早く稼がねばならん。稼ぐにはやはりまだ市場に出回らない上の素材となると迷宮の奥地に行
くことになる。
さっきのでLvは2になってもうすぐレベルアップするだろうが魔法は1のまんまだ。経験値が魔法は見えないので不便だ。
魔法の経験値が見える魔法もあるらしいし取ってしまおうかな。MLP2あるし。
そこで魔法を所得欄開いたら《杖製作》を忘れていたのですぐ取ろうと思ったが、まだ使いそうに無いのでパス。余りは攻略サイト見てからだな。
そんなこんなでレベリングと金稼ぎを兼ねて西の迷宮にたどり着いた。
『よしっ。気合い入れるか』
ここから口数減りますがご了承下さい←元からだろボケ作者
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ダンジョン内はβと変わらず、天井を光るコケのようなものが照らしていた。噂ではもっと下の階は松明とかでドンドン明るくなるらしい。それでいいのかダンジョンよ。
しかし、これは上に照明があるので曲がり角で影が見えずに不便なのだ。
『どうにかなんねーかなって早速か!』
最初はスライムだった。角でぶつかりそうになったため後ろに跳んだがかなり近い。
腰から杖を取り出してる間にスライムがグニャグニャ曲がり、一部を拳のように突き出して来た。上に跳び、かろうじてかわした所で抜いた杖を突き出し詠唱する。魔法使いは詠唱しないとね。
『水球!』
詠唱と言っても最初の奴は名前だけだけど。
詠唱と共に杖の先からサッカーボールほどの水が出てスライムに少し速めに飛んでいく。
スライムに水は相性が悪いので当たる寸前に
『凍れ!』
ここに来る前こっそり取ってた氷魔法の応用で水球の温度を急激に下げ、氷塊と化す。
MLP2も消費したよ。氷魔法。
そして氷塊とスライムが衝突。スライムは中心のボウリング玉並みの核を破壊しないと倒れない。もちろんスライムの身体に勢いを吸収されて核は壊れない。
しかし俺の狙いはここからだ!
スライムは固体を身体に取り込み栄養とする癖がある。しかし消化には時間がかかるしその間中身は見えっぱなしだ。
このように砕けた氷片が[核を挟んでいる]のも丸見えだ。
『罠にハマったな!電流!』
杖から電流が迸り、スライムに向かっていく。そして[氷片が導線のよう]に電流はスライムの中を駆け抜ける。もちろん間にあった核にも電流がいき…
『#%*◇△#¢!』
とても表現出来ない奇声(?)をあげた。しかし、レベルの差でスライムはまだ生きている。
奇声をあげてる間に近づいていた俺は杖の細い方を核に向けて突いた。これならスライムの抵抗も少ない。
案の定、スライムのボロボロだった核は派手に砕け散り、力尽きた。
βで試したことがあるのだが水魔法の水は飲めるほど純度が高いのに凍っても電気が通るのだ。謎ばかりである。
スライムの体液を採取用の容器に入れ、核の破片を拾って奥に向かう。青猪や紅鳥などの素材はせいぜい一個高くて5G位なのにスライムやゴブリンは普通10,15Gのアイテム落とすから理不尽だよね。強いけどさ。
『なかなかMOBに会わないなぁ。最初だから人来ないと思って沸出抑えてんな運営』
MOBに会わないなら仕方ないと俺は小部屋を探し始めた。宝箱を開けたいからだ。宝箱は誰かが開けるとしばらく同じ場所には出ないのだ。だから早く開ける必要がある。それに今は貴重な装備を強化出来る可能性があるのは嬉しい。
一時間ほど小部屋を回りながら狩りをしていた全ての部屋が外れ。ちょうどこの道をまっすぐ行った所に部屋が一つあるのでそこを最後に次はダンジョン攻略に移ろうと思う。
部屋に入ると先客がいた。
*
ここまで来るのも大変だったけど、やっと報われるわ。彼女の目の前には大きな木製のいかにも宝箱といった箱が置いてある。
迷宮のあっちこっちにいるMOBを速度魔法で置き去りにして、小部屋にある宝箱を探し回っていたが、なかなか見つからなかった。
しかしようやく見つけたのだ。ログインから2時間経ってるし、今までの道はオートマッピングされてるとはいえ、空腹度がヤバいのだ。これを開けたら戻ってご飯の一つでも食べなきゃね。
宝箱を開けようと近づくと勝手に蓋が開いた。しまったミミックだ!
ミミックは欲に走ったプレイヤーを陥れる罠の一種で、開けようとして、近づくと蓋が開いてそこは牙と舌しかない怪物なの。
今のレベルじゃ噛まれたら即死級のダメージだから早く避けないと!
避けようと速度魔法で自分のスピードを上げつつ、ミミックを遅くしようとしたら、僕とミミックの間に氷の壁が現れた。今度は何なの?!
『今のうちに逃げて!!』
若い男の声が聞こえるのとミミックが氷の壁を突き破るのは、ほぼ同時だった。