キス
Bonds of ten years after【chapter⑤】キス
日曜日の朝、咲空が、愛翔の部屋に、乗り込んでくるように入ってきた。愛翔は、お気に入りのbonds of ten years afterの映画を勉強机の前お椅子に座って、テレビから離れて、ひとりで観ていた。そして感動に浸っていた。愛し合った二人が10年後、また再会するという恋愛映画だ。直訳で10年後の絆。
だが、そんなことお構いなしに咲空は叫んだ!
「あいとーーーーー!!」
と、言いながら愛翔の部屋のコタツの上に置いてあった消しゴムを掴み取り、愛翔へ投げた。感情的になってる咲空のコントロールは抜群だった。愛翔の額に綺麗にヒットして、椅子に座っていた愛翔はそのまま後ろへ倒れた。
ガタン!
「いててて、な・・何だよ?!さくらーー」
「何じゃないわよ!何度あんた、私の約束破ってんのよ!昨日は土曜日だから堤防に二人で会うって話したでしょ?こういうこと多すぎなんだよ!」
咲空は、キレてる・・・何を言っても通じないだろう。ここは謝るしかないだろう・・・
「ごめん。ごめん。ちょっと冷静になろう?」
咲空はまるでエサを取られたライオンのようにゼーゼー言いながらこっちを鋭く睨みつけてるw
「でもさ。咲空。おれもちゃんと約束の時間に行ったんだぜ?でも、お前がいないから。あぁまたかって思って帰ったんだよ。そのあとにお前来たのかもしれないな・・・・?」
咲空の目はまだ赦してないが言った。
「今度こういうことまたあったら、ゆるさないんだからね?! それにいつ海に連れて行ってくれるの?」
愛翔はちょっと驚いた顔で言った。
「海って、いま冬に近い秋だぞ?そんな時に海なんて普通いくか?」
「いいの!愛翔の思い出の場所に二人でいきたいの!」
しょうがないなーという顔をして、愛翔はうなずいた。
二人は、昼から電車に乗り時間をかけて海へと向かった。秋の海は寒かったけど、二人は寄り添って海を眺めた。そして、あの時の話を愛翔は詳しく話をした。咲空はまた、泣き始めた。二人は喧嘩もして、すれ違いもよくあったけど、それはお互いを想っての喧嘩が多かった。それは、二人が一番よく知っていた。
この時期の海は人が少ない。冷えた体を寄り添って温め合い、顔と顔をゆっくり自然と二人は近づけた・・・・。
そんな二人を太陽も一緒になって温めた。
【chapter⑤】fin