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プレート

Bonds of ten years after【chapter④】プレート




今日も愛翔あいとの家へ遊びに来た。


「ただいまー」


 愛翔の声がキッチンで、食事をつくるお母さんまで聞こえて来る。お母さんは、廊下まで来ないけど、いつもの変わらない愛翔の声を聞いてキッチンから返事を返す。


「おかえりなさーい」


 二人は愛翔の部屋へと向かう。

 咲空さくらは、今日も愛翔あいとが、気を使って安心出来るようにと、音楽などをかけて優しい雰囲気を作ってくれることを嬉しく思っていた。曲が流れている部屋に二人でいると、とても心落ち着いた。でも、時々愛翔が何か考え込みさみしげな顔になることがあることに気付いていた。それはどうしてなのか、解らなかったけど、またその顔を愛翔が見せたので、つい聞いてしまった。


「愛翔ってさ。たまに淋しそうに見える時があるんだよね。どうしてなの?」


「え?そう・・・・かな?・・」

と、愛翔はすこし驚いた感じで、どうしてだろうと考えた。また、ちょっとさみしげに話はじめた。


「うーん・・・・。えーと・・・。咲空には、まだ話してなかったよね?おれって小学校の4年生まで、施設にいてさ。4年生からここに来たんだ。そういうのもあってかな・・・?たまに考えたりするんだよね。本当の親って何してんのかなってね。それだけだよ。」


 それを聞いた咲空が悲しそうな顔をしたので、気にさせないように気遣いながら昔話をはじめた。


「1年経って5年生になっても、なかなか馴染めなかったんだよね。お母さんもお父さんも優しい人だったけど、本当に好きだと思ってくれてないように感じてたんだ。お父さん、そういう僕の気持ちを変えるために、夏に海に連れて行ってくれたんだけど、あまり遠くへ泳いだらダメだっていう約束を破ってさ。離れ小島まで一人で泳いでいっちゃって、戻ってきたらみんな心配して探してたみたいだったんだよね・・・。

そうしたら、お父さん俺を見付けたら、いきなりビンタしてきてさ。小さかった俺をぎゅって抱きしめてさ。


「心配したんだぞ。もうこんなことはするな」


って初めて怒ったんだ。おれその時、思ったんだ。


あぁ この人が僕のお父さんで、お母さんも僕の家族なんだってね。だから大丈夫だよ。咲空。お父さんお母さんいるからおれ淋しいってわけじゃないんだよ。」




そんな話をきいて、咲空の目から涙が自然とこぼれ、その思い出を大切にしてほしくて、愛翔に向かって言った。




「わたし、その海行ってみたいな。連れて行ってくれる?」




愛翔は優しくうなずきながら、言った。




「そうだね。行こうね」




 咲空がポケットからAIのプレートを出したのを見て、愛翔もSAKURAのプレートを出し、キスをするようにプレートを重ねた。


カチッ   という音が鳴った。


咲空は涙は流れてたけど、笑顔になっていた。



【chapter④】fin


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