結婚
Bonds of ten years after【chapter③】結婚
町の路肩へ入り込んだ、小さな公園で少し驚いたふうな顔をした咲空の腕を掴み、愛翔は咲空を見つめ、なるべくゆっくり話はじめた。
「ねー。咲空。おれこの2週間、咲空と会うたびに気持ち強くなって、二人でいないときも咲空のこと考えちゃうんだ・・・・。だから、咲空と一緒にいると嬉しい気持ちになる。でも、たぶん咲空は同じ気持ちにはなっていないのもわかるんだ;君は僕といるとき、少しでも間があると落ち着かない様子になって、何か他の事をすぐ始めようとしちゃう。
こういう言い方したら嫌われちゃうかもしれないけど、おれ咲空のこと会った瞬間から好きになったんだ。だから、咲空と何もしなくても一緒にいるだけで楽しい。もしよければ、これからも一緒にいてほしい。咲空も安心していられるように努力するから。ダメかな・・・・?」
思いを上手く伝えれない感じで、必死で告白した愛翔の言葉とは裏腹に、咲空はとても簡単に、でも嬉しそうに答えた。
「うん。いいよ」
次は咲空が愛翔の手首を握り、歩き連れて行きながら目を合わさずに話す。
「わたし、愛翔のこと好きだよ。愛翔は私と違ってちゃんと考えてくれてる。わたしのことわかってくれようとしてくれてる。愛翔の話を聞いて嬉しかった。」
咲空は、少し立ち止まりある出店を指差した。それはアクセサリーが並んだ出店だった。
「さっき歩きながら思ったの。お揃いの名前プレート買って普段からずっと持ち歩くの。わたしは、愛翔の名前のプレートを持って、愛翔はわたしの名前のプレートを持つの。どう?」
嬉しそうに咲空が話すから、愛翔は断わることなんて出来るわけがないとおもって、咲空よりも次は先に出店へ向かい、二人の名前を探した。SAKURAというプレートは見つかった。でも、愛翔のはなかったので、AIというプレートを見付け、愛翔はプレート二つを取って出店のお兄さんから売ってもらった。
そして、まるで結婚式の指輪交換のように、二人はお互いの名前のはいったプレートを交換しあった。咲空は、愛翔の顔を見ながらとても、かわいい笑顔をしていた。本当に綺麗だった。祭りの人盛りは相変わらず凄かったけど、その時の二人の時間は止まったように感じた。
【chapter③】fin