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Bonds of ten years after【chapter①】空






 思い出すと彼女との最初の出会いは、今日のような日が沈みかかった、綺麗な夕日の見える日だった・・・・・







 綺麗な秋の夕暮れ時、愛翔あいとは、野球部の練習を終えて町に流れる川の堤防ていぼう沿いで、ひとり静かにモノをふけるのが、毎日の日課だった。こんな綺麗な夕日の下で、流れる川のせせらぎの音が愛翔あいとの想像力を静かに心地よくきたてるのが好きだった。心の中で色々な冒険をしていくことで、自分の中にある好奇心を満たしていたのだった。

 夕日は心地よく赤く愛翔あいとを照らしてくれていた。





そんな時、すぐうしろから




「バカヤロー」  バッシャー!




という、声をあげながら川に向かって石を投げている人がいた。綺麗な高い声だった。女の子のようだ。


 愛翔あいとのすこし鋭く見えてしまう細い目が、驚いて丸くなり、そーっと後ろを振り向いて、そのをみた。


 彼女は、左手にハンカチを持って、たぶん右手でさっき石を川へ投げたのだろう。少し高めの細長い背丈を支えるように、足幅を広げ地面に踏ん張って投げたようだった。なんだか、息をきらせたように肩が振えている。心なしか、目はうるうると涙が溜まっているようにも見え、夕日がその瞳をキラキラ光らせていた。左手のハンカチはその為だろう。そんな彼女を初めて見た瞬間、とても不思議だが前から知っているかのように愛翔は胸の奥がうずいた。

 彼女は、プイっと体を後ろへ回転させて帰ろうとした。たぶん、感情的になっているからだろう、ハンカチが左手から落ちたことに気づいていない。ここで何もせずに行かせてしまえば、もう逢えないだろうと愛翔あいとはおもい考え、追いかけるようにハンカチを途中で拾い、走って彼女に声をかけた。


「あのー。ちょっと・・・・これ君のハンカチ、さっき落としたようだけど・・・・」


 彼女は振り向いて、顔と顔を合わせた。さっきまでうるんでいた瞳が嘘の様に、ケロっとした目で、愛翔を見て言った。かわいい猫の目のように二重で、少し吊り目の目で、鋭く愛翔の目を見ている。


「あ。   わたし落としちゃってたんだ。ありがと」


 愛翔あいとはハンカチを渡し、少し焦りながら話した。そういうとき、愛翔は早口になってしまう癖がある。


「あ。あのさ。俺、東風はるかぜ高の愛翔あいとっていうんだけど、さっきどうして君、川に石を投げてたの?」


 気を使った感じで少し目を泳がせながら、早口でしゃべる愛翔をみて、すこし笑いながら


 「うん・・・・わたしはさくらっていうよ。友達とケンカしちゃってさ。むしゃくしゃしながら堤防沿いを歩いてたの。そうしたら、一人で夕日を見てぼーとしてる制服姿のあなたがいたの。離れてたけど何か考え事でもしてるように見えたよ。それを邪魔したら、わたしの気分も晴れるとおもって、後ろから川に石を投げたのw」



 それを聞いた愛翔は、あきれた気分にもなったが、その笑った顔がかわいくて、そんな性格の子もいるんだと何故か関心する気持ちが合わさって、愛翔あいとも笑ってしまった。本当にかわいいこの



「あなたの名前、アイトっていうの?」

彼女が聞いてきた。



「うん。僕の名前は、愛情の愛に  飛ぶの翔で、  愛翔あいとって言うんだ。空を愛情いっぱいに翼をひろげて飛ぶんだw」

すこし照れながら言った。


ちょっと、驚いた感じの彼女が話した。

「なんだか不思議・・・・わたしの名前も同じ 空 だよ、  花が咲くの咲に、 空って書いて、咲空さくらっていうの。空一面に咲くっていう意味らしいよ。  愛翔あいと と 咲空さくらだね」


 咲空さくらは、ツインテールの似合う女の子で、普通ならバカヤローって女の子が言うと、嫌な感じに思えるはずなのに、咲空さくらがいうと、可愛く聞こえる高い声をしていた。 エヴァ に出て来る惣流・アスカ・ラングレーの声そっくりだw。そして、愛翔あいとの理想の女の子に驚くほど似かよっていたので、彼女のことをもっと知りたい気持ちにかられていた。ありがたいことに咲空さくらのほうから、名前の話からはじまり、夕暮れの帰り道で、話をし続けてくれた。咲空は話をする時じっと目をみながら話す。でも、愛翔は咲空と目が合うたびに目をらした。



愛翔あいとは聞いた。


「また、明日も話さない?」



「どうしようかなー。」


と、咲空さくらはそう言いながら立ちあがり、歩いていこうとするが、最後に愛翔に向かって笑顔で手を振った。あれはどういう意味なんだろう。愛翔は、考え込んだ。



【chapter①】fin


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