第５章
Can You Love Me Forever？の第５章です。
第５章 「友華」
「みんな、今日は誘ってくれてありがとね」
みんながぽかーんとこっちを見てくる。
「なーに改まってんの!!
こっちまで照れるじゃーん!!」
「そうだよ俺ら友達だし!!」
『友達』
「でも、こうやってちゃんと感謝できるって
すごい大事なことだよな。
感謝の言葉がちゃんと言える田所って俺はすごいと思う」
え？
「たしかにそうだよね」
「おまえらの言う通りだよな」
「っつーかおい光也!!
おまえ田所のこと好きなのかよ？
ヒュ～!!」
ちょ、今泉くん何言ってんの!!
「おまえらそういうことじゃねーよ!!
うっせーなおい!!」
「あ、辻も友華も真っ赤になってるぅ!!
ヒュ～ヒュ～」
愛美まで!!
んもう。
「ほんと田所さんかわうぃーね!!
田所さんのこと、友華って呼んでいい？」
「お前って相変わらずチャラいな。
だから彼女できねーんだよ」
「うっせーな!!
おまえ人のこと言えねーだろーがこのボケ今泉!!
ねぇ、いいよね友華？」
「あっうん、全然いいよ」
って返事する前から呼んでるし!!
今、こう聞いてきたのは小笠原恵介くん。
ちょっとチャラくて女ったらしだけど
なんか間抜けで憎めない。
「じゃあ、俺も友華ちゃんと呼ばせてもらいまーす」
「あ、友華モテモテだね～!!」
「あたしも友華って呼んでいいかな？」
今日来たコの中には、
まだ名字で呼び合ってるコもいた。
女子は全員、下の名前で呼び合おう。
男子は。。。
恥ずかしいですな。
今、友達に友華って呼んでもらって、
いつも呼ばれてる名前が特別に感じた。
みんなとわいわいするのはすごく楽しいな。
みんな、友情が深まったんじゃないかな？
今日はかけがえのない日になったと感じた、
そのときだった。
うちの中学の制服を着た女子がひとり入ってきた。
ちっちゃくてかわいらしい。
「失礼しまぁ～す!!
あっ光也いたいたはっけ～ん!!
希、光也のことず～っと探してたんだからぁ」
「今野じゃん。。。」
「なんで今野がここに？」
みんながつぶやく。
「希っ。。。
おまえ何しに来たんだよ!!」
希？
２人はどんな関係なんだろう。
「だって言ったじゃん!!
メールだって昨日したの、見てくれたでしょぉ？
光也は希だけなんだって!!
希のこと好きって言ってくれたじゃん!!
今日はあの日でしょ？」
あの日？
「それは昔のことだろ？
おまえとは終わったんだよ。。。
つかなんでここまで来た？」
「光也の友達に聞いたの!!
今日は２人の大事な、あの日じゃん!!
なのに希以外の人たちといるなんてぇ」
「とにかく、もう帰ってくれ。
俺に関わらないでくれ。
みんなにも。」
「ちょっと今野さん?!
本人嫌がってるんだからやめなよ?!
しつこいよ」
愛美がそう言った。
今野さんという人は愛美をにらむと
光也くんをぐいとひっぱった。
「光也は連れて帰るから!!
みんな、いい?!
光也は希のものなんだから、
男女関係なくみんな近づかないで!!
特に光也に近づく女子は許さないもん。
んもぅ、光也モテるんだからぁ。。。」
そう言うと、光也くんを連れてドアを閉めてしまった。
「意味わかんねぇよ。。。今野のやつ」
「せっかくうちら盛り上がってたのに最低」
「つか、近づくなとか。。。
お前は光也の何なんだって感じだよな」
「もうカラオケって雰囲気じゃなくなっちゃったし」
誰かが口ぐちに色んなこと言ってる。
気まずい雰囲気が流れた。
「。。。もう帰らない？」
７時を回っていたし、この雰囲気では歌う気になれない。
「そうだな」
「またみんなで遊ぼうよ」と愛美。
「ねぇ、光也くんに何があったの？」
そう聞いても、みんなうつむいたまま。
このことについては触れたくないみたい。
「何があったのかは、ぜってーいつか話す。
ただ今は、まだ話せねぇんだ。
光也もいろいろ混乱してるだろうし」
「わかった」
今日集まったのは、光也くんを抜かして男子５人と女子４人。
８人とも、わけは知ってるようだった。
家に帰ってからも、光也くんのことが
頭の中をかけめぐっていた。
人として放っておけなかったから。
「友華ちゃん？まだ起きてたの？」
「あ、起こしてごめん。
あのねおばあちゃん、『ちゃん』はつけないで友華ってよんで」
「わかったわ、友華」
おばあちゃんを見ると、優しい笑顔でわたしを見てた。
「友華って、おばあちゃんがつけてくれたんだよね？」
「そうよ。人を大切にし、自分に誇りを持って、
華やかに生きる人になりますようにってつけたの」
ありがとう、おばあちゃん。。。
この名前をつけてくれたのは、
やっぱりおばあちゃんだったんだ。
お母さんとお父さんには、
名前も呼んでもらえず、ずっと「あんた」だった。
今日、たくさんの友達が友華って呼んでくれた。
友華って名前は、わたしの誇りだよ。
でもやっぱ、光也くん心配。
何があったんだろう。
力になれたらいいなって思う。
次は光也のお話です。
お楽しみに!!
