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悪役令嬢断罪請負人デルガ  作者: 南蛇井


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21/47

【幕2】加速する演出

次の断罪は、さらに派手だった。


舞台は拡張され、炎は二倍に増え、音楽はより攻撃的になる。


だがデルガの視線は、装置ではなく資料に向いていた。


罪状。


本来は軽微な政治的失言。


しかし配布用の台本では、


“国家への背信”

“信頼の裏切り”

“若者の希望を踏みにじった行為”


と書き換えられている。


証言も同じだ。


原文は曖昧。


だが編集後は断定的。


余白は消え、疑問は削られ、


感情だけが強調されている。


(事実と演出の乖離)


デルガは紙を静かに置く。


炎は大きくなっている。


その代わり、真実は細くなっている。


夜。


王城の会議室。


長い机の向こうに、カイが座っている。


疲れはない。


むしろ楽しげだ。


「何か?」


デルガはまっすぐに言う。


「事実より感情を優先している」


カイは即答する。


「事実は退屈です」


一拍。


デルガの視線が鋭くなる。


「誇張している」


カイは肩をすくめる。


「物語化です」


軽い言葉。


だが確信に満ちている。


デルガは静かに問う。


「それは正義か」


カイの目がわずかに光る。


「正義は伝わらなければ意味がない」


机の上に指を置き、続ける。


「民は感情で動きます。理屈では動きません。」


冷静な分析。


理屈は頭に届く。


感情は腹に届く。


腹が動けば、群衆は動く。


デルガは低く言う。


「では娯楽か」


間はない。


カイは即答する。


「両方です」


その声に迷いはない。


正義であり、娯楽。


娯楽であり、正義。


区別は不要だとでも言うように。


カイは立ち上がる。


窓の外に広がる王都の灯りを見ながら言う。


「正義はショーになった瞬間、力を持つ」


振り返る。


「怒りを設計できれば、国は安定する」


その言葉が空気を凍らせる。


デルガは理解する。


怒りを制御する者は、


怒りを“作る”こともできる。


炎を囲うことと、


火種を撒くことは、


限りなく近い。


カイは微笑む。


「安心してください。私は暴走させません」


その自信が、デルガには最も危うく見えた。


火は制御できる。


だが人はどうだ。


会議室の灯りが揺れる。


外では、次の断罪の準備が進んでいる。


炎は、さらに高くなる。


デルガの胸に、冷たい予感が残る。


幕2、終了。

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