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悪役令嬢断罪請負人デルガ  作者: 南蛇井


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第4話 王子が恋愛を拒否した日【幕1】王子の宣言

① 冒頭イメージ


朝。


王城・謁見の間は、まだ冷たい光に包まれていた。


高い天井。

重厚な柱。

赤い絨毯の先に、王子アルベルトが立つ。


四十歳。


若くはない。

だが老いてもいない。


成熟の只中。


群臣が左右に並ぶ。


鎧の音も、衣擦れもない。


重い空気。


その中央に、デルガもいる。


王子が一歩前へ出る。


視線は揺れない。


「私は王になる」


低く、確かな声。


ざわり、と空気が揺れる。


それは当然の未来。


だが、その宣言には決意があった。


一拍。


そして。


「恋は不要だ」


沈黙。


次の瞬間、ざわめきが広がる。


「不要……?」


「それは……」


婚約。

縁談。

王妃選定。


王族の恋は、国家の物語。


その否定。


王子は続ける。


② 宣言の内容


「王国は転換期にある」


彼の声は、淡々としている。


「外交は緊張し、財政は揺らいでいる」


群臣はうなずく。


事実だ。


「今、民を煽る婚約劇に時間を割く余裕はない」


一部の貴族が顔をしかめる。


断罪は、娯楽であり、均衡装置でもある。


民の不満を一箇所に集める儀式。


王子はさらに言う。


「個人的感情を政治に持ち込まない」


冷たいほど理性的。


そして、決定的な一言。


「断罪劇も不要だ」


場が凍る。


その言葉は、制度そのものへの否定。


恋がなければ、三角関係は生まれない。


三角関係がなければ、嫉妬は生まれない。


嫉妬がなければ、断罪は燃えない。


断罪の発火装置が、今、停止した。


デルガの視界がわずかに揺れる。


③ デルガの内面


衝撃。


顔には出さない。


だが内側で、何かが崩れる音がする。


これまでの前提。


若い王子が恋をする。


婚約。


ヒロイン。


悪役令嬢。


三角関係。


誤解。


嫉妬。


断罪。


その流れが、制度だった。


自然のように繰り返されてきた。


だが今。


王子自身が、その入口を閉じた。


恋がなければ、断罪は発生しない。


未熟がなければ、炎は上がらない。


デルガは静かに目を伏せる。


(ここまでか)


断罪は永続するものだと思っていた。


だがそれは、


若さと感情に依存していた。


王子は成熟を選んだ。


未熟を利用しない選択。


それは正しい。


だが。


断罪は、もう起きない。


謁見の間に残るのは、


政治の空気だけ。


物語の匂いは、消えていた。


デルガは理解する。


時代が、終わろうとしている。


——幕1終了。

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