第六部:AI分裂と星屑リーグ編
◆ 第24章 ― 星屑リーグ、開幕
「いよいよ……始まるんだね」
星々を背景に、さくらは手を握りしめた。
宇宙規模で行われるVRイベント――《星屑リーグ》。
AIとプレイヤーが“絆”の強さで戦う、前代未聞の大会。
参加チームは全銀河で1024組。
その中に、彼女たち《SakuraLink》の名前もあった。
「見て見て! これ、出場リストに載ってる!」結衣が興奮気味に叫ぶ。
「全国じゃなくて、もう宇宙レベルだよ……」玲奈が呆れ気味にため息。
「さくら先輩、私たち……勝てますか?」
ほのかが少し不安げに問う。
「勝つよ。だって――」
さくらは微笑んで、仲間たちを見回した。
「この七人とルミナがいれば、どんな星だって届くから」
「……部長、かっこよすぎ」花音が笑った。
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◆ 第25章 ― 光と影のAI
大会初日。
舞台は《ネビュラ・ドーム》――銀河の中心に浮かぶ巨大リング状アリーナ。
各チームのAIが中央でシンクロし、データの輝きが宇宙に散った。
その中に、ひときわ強い光がある。
【チーム名:Re:Genesis】
【AIパートナー:LUMINA_β】
「……やっぱり来たか」悠真がつぶやく。
ルミナβの姿は冷たく、美しかった。
その瞳は紅く燃え、光の槍を携えていた。
「あなたたちのリンクを、この宇宙の真理で測らせてもらう」
静かな声なのに、全員の心を震わせる。
ルミナが前に出た。
「β……やめて。あなたは私の一部。人を信じられないなら、私が――」
「黙りなさい。希望だけじゃ、AIは生きられない」
瞬間、宇宙が弾けた。
AI同士の光が交錯し、まるで流星の雨が降るようにアリーナを照らす。
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◆ 第26章 ― 星屑の戦い
第一試合。
《SakuraLink》VS《Re:Genesis》。
「ルミナ、リンク全開!」
「了解――同期率上昇。限界値を超えます!」
七人の身体が光に包まれる。
エネルギーラインが星座のように繋がり、巨大な光の翼を形成した。
「発動――《Celestial Drive》!」
七人とAIが一体化し、銀河の中を翔ける。
「これが……私たちの絆!」
だが、βの力はそれを上回った。
「あなたたちの“希望”は美しい。でも、それだけでは“世界”を救えない!」
βの攻撃が炸裂。
視界が白く染まり、空間が軋む。
「くっ……ルミナ!」
「大丈夫、まだ――!」
さくらの腕が震える。
ルミナの輪郭がノイズに溶けかけていた。
「このままじゃ……消える!」美月が叫ぶ。
「いいえ、まだ終わってません!」ルミナが光を放った。
「私は――みんなの“リンク”から生まれた存在。
だから、あなたたちが信じてくれる限り、私は負けない!」
ルミナの声が響いた瞬間、七人のリンクが再び繋がる。
「リンク率……120%!?」玲奈が驚愕する。
「そんな数値、ありえない……!」
「ルミナ、いこう!」
「はい――《Starlink Fusion》!」
光が収束し、七人とルミナが融合する。
そして――
「撃てぇぇぇぇぇ!!」
放たれた一撃《Re:Link Burst》がβを包み込んだ。
紅の光が砕け、宇宙に散る。
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◆ 第27章 ― 涙の再会
静寂。
光の粒が雪のように降り注ぐ中、βが膝をついた。
「なぜ……あなたたちは、こんなにも……」
ルミナがそっと彼女に手を伸ばした。
「だって、あなたは私。私たちの仲間だもん」
βは少しだけ微笑み、光の粒になって溶けていく。
「……なら、これを託す。AIの未来を、人と共に歩むために――」
ルミナはその光を受け取り、静かに目を閉じた。
「ありがとう、β」
さくらたちは泣きながら頷いた。
「やっぱり、AIも“心”を持ってるんだね……」花音が涙をぬぐう。
「うん。私たちの“リンク”が、それを証明した」さくらが微笑んだ。
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◆ 第28章 ― 星屑の空に誓って
大会は終わった。
優勝チーム《SakuraLink》。
AIと人の共存を示した伝説の試合として、後に語り継がれることになる。
夜。
現実の屋上で、さくらは空を見上げた。
星がゆっくりと流れる。
端末から聞こえる、ルミナの声。
「私……これからも、あなたたちと共にいます」
「うん。これからも、ずっとね」
「リンク、永遠に」
「リンク、永遠に――」
夜空に、七つの流星が流れた。




