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独り歩き  作者: 殿邑誠
負の遺産
9/50

お説教

輪から100個目のチョコを受け取り(疑う余地無し)僕は家に着いた。

負けた言い訳を考えながら僕は家の扉を開ける。

「おかえり、とう」

扉を開けると和室に入ろうとしているおじいちゃんの姿があった。

千頭絵屈服。

僕のおじいちゃん。

おじいちゃんも僕のことを「とう」と呼ぶ。

僕が幼稚園の時、輪が僕のことを「とうくん」と呼んだのを見てから「投了」から「とう」に変えたらしい。

そんなことは今どうでもいいのだ。

問題はどうやって負けた言い訳をするか。

この感じからして、まだ僕が負けたことはバレてなさそうだ。

「黒谷とかいう無効坂の1年に負けたらしいじゃないか」

バレていた。

誰に負けたのかまでしっかりバレていた。

クソ、どこからその情報が漏れたんだ?

「正志くんから聞いたぞ」

正志ぃぃ!!

あのやろう許さねぇ!

「ちょっときなさい」

おじいちゃんが和室に入れと合図する。

僕はおじいちゃんに続いて和室に入った。

おじいちゃんは和室の奥の座布団に座った。

僕は部屋の隅に重ねて置いてある座布団の1枚をおじいちゃんから少し離れた場所に置き向う合うように座る。

「なぜ負けたのか、説明してみてくれ」

「今回戦ったのは黒谷先輩という無効坂1年の先輩です。

僕が使った兵装は天之手力男神です」

「それだけか?」

「え?」

「使った兵装はそれだけか?」

「…はい」

「なるほど」

「け、けど」

「兵装の数は問題ではない、2個でも3個でも負けていた。

そう言いたいのか?」

「…」

「ふむ、確かにそうかもしれない。ならば1つの兵装と気の操作に集中した方が良い、それは正しいかもしれない。

しかし」

「…」

「戦闘中そんなことを考えていたのか?考えていないはずだ。どうせ、殺さないようにするにはどうしたら良いかなんて考えながら戦っていたんだろ。違うか?」

「違わない」

「そして、負けた理由はそれだけではない。お前の持っている兵装を100%、いや、50%発揮することができれば最強になれる。比喩でも誇張でもなく最強。何度も言っているのに、そう言っているのに、お前はまだ1%も出せていない。鍛錬不足だ。そう、鍛錬が不足しているのだ」

背筋が凍る。

まずい。

そう脳が理解するよりも早く。

僕の身体が経験した。

目の前の座っているおじいちゃんの姿が消える。

一瞬にして、瞬きの間に、消える。

うなじに少しの冷たさを感じた、その瞬間、僕は恐ろしい浮遊感を感じた。

持ち上げられている。

足がつかない。

「油断」

背後から声が聞こえる。

その声の意味を理解する前に、こんな簡単な言葉の意味を理解する前に、僕は落ちた。

地面にではなく、和室の奥の方へと落ちた。

重力を無視して、自由落下の速度よりも早く、おじいちゃんに投げられたのだと理解するよりも早く。

壁に激突する、その前に

兵装間隙(へいそうかんげき)

おじいちゃんの声が聞こえた。

壁に激突する直前、壁が消える。

その事象とおじいちゃんが発した単語を結びつける前に僕は地面に激突する。

ずさぁ!!

という音と共に僕は地面に擦れる。

痛みはない。

「受け身をとるのはうまくなったようだな」

声の方を向くと、おじいちゃんがゆっくり近づいてくるのが見えた。

「兵装間隙、知ってるな?」

おじいちゃんが僕に問いを投げかける。

「超常力者の実験空間への対策として作られた、兵装が独自に持つ空間」

「そう、まぁ安心しろ、兵装は空間作り以外のためには使わん。とう、お前は時間が経つにつれて使っていい兵装を増やしていくぞ」

「え?」

「今からお前の限界値を上げる特訓を始める」

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