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独り歩き  作者: 殿邑誠
負の遺産
8/50

1日遅れ

ガトーショコラもフレンチトーストも美味しかった。

フレンチトーストはふわふわだったしガトーショコラは濃厚だった。

大満足である。

しかし大満足では終わらせてはくれないらしい。

僕の目の前で輪は両肘をテーブルにつけ指を組んでいる。

じっと僕の方を見ている。

そろそろ説明しないといけないらしい。

「今日ラーメン屋に行ったら無効坂高校の一年生の先輩に会ってボコられた」

「ふぅん、初対面?」

輪はそれがまるでなんでもないことであるかのように質問してきた。

「初対面だ」

「そっか、やっぱ無効坂高校に『お宝』狙いで行くってことはそういうことなんだね。土岡くんは大丈夫なの?」

「襲われたって話は聞いていないけど、まぁ大丈夫だろ。強いし」

「そっかぁ」

「輪も大丈夫だと思う。多分戦力だとは認識されていない」

「まぁ戦闘能力あんま無いしね」

「あぁ」

「分かった、それじゃあ話変わるんだけど」

「なんだ?」

「昨日チョコ何個貰った?」

…チョコ?

チョコ?チョコってのはチョコレートのことだろうか。

チョコレートと昨日との関係性?

そんなものあっただろうか?

昨日は2月14日。

バレンタイン。

ヴァレンタイン。

こりゃ困った。

みなさんには2話でお伝えしたとおり、僕が今年貰ったチョコの数は0である。

しかし本当に0なのだろうか?

僕が見逃している可能性もあるだろう。

当然あり得る。

僕は完全無欠では無いから見逃しているかもしれない。

いや見逃している。

間違いない。

では僕は何個のチョコを見逃しているのだろうか。

僕が通っている水無月城東中学の全校生徒は600人と少し。

まぁそれの半分が女子生徒だとしよう。

300人程度。

中学校だから3学年。

1学年100人。

3年生の女子生徒の数は100人。

しかし僕は男子の友達が多い。

友チョコ50個貰っていることは想像に難く無い。

しかし反面女子の友達は少ない。

精々40人程度だろう。

ここで部活動のメンバーを入れてみよう。

もう引退しているとはいえ、後輩とは仲が良かった。

おそらく9人程度からは貰えているだろう。

男子50。

女子40。

部活9。

願いましては99といったところか。

確かにそう考えてみると、なるほど僕は確かに昨日、何個かのチョコを見逃している気がする。

具体的に言うならば99個。

全く、困った話である。

なんだか最初っから最後まで計算がおかしかった気がするが、多分大丈夫だろう。

「99個だ」

「ふぅん」

ふむ、なんだか輪の顔が少しニヤついている気がする。

まさか信じていないのか?

困った話である。

「後少しで100個だったんだけどね」

「そうだねぇ」

「なぜさっきからニヤニヤしているんだ?」

「ふふ、それじゃあそろそろ帰ろうか」

「え?ちょ、おい」

輪が席を立つ。

僕は伝票を取り輪を追いかける。

なぜ笑っているんだアイツは。


僕たちはお会計を済ませて店の外に出た。

「今何時?」

僕はスマホを確認する。

「1時半」

「この後はどうする?」

「そうだな。そろそろ帰ろうかな。じいちゃんに黒谷先輩のことを報告しないといけないし」

「そっか、それじゃあその前にコンビニ寄ってきていい?」

輪は少し先のコンビニを指差した。

「いいよ」

「ここで待っててね」

そういい輪はコンビニに走って行った。

さて、じいちゃんになんて説明しようか。

僕のおじいちゃんは基本的に優しいのだが、戦闘のことになると厳しくなる。

負けたなんて言ったらなぜ負けたかの説明と今後の対策を言わなくてはいけないたろうし、明日からは訓練をやることになるだろう。

しかし言わないわけにはいかない。

無効坂高校の『お宝』については任務なのだ。

その任務に関わることなのだから説明しないわけにはいかない。

任務遂行不可の決断を下すのもじいちゃんであるならば誤魔化すわけにはいかない。

なんとも悲しい話である。

どうしたものか。

「お待たせ」

少し考えている間に輪が戻っていた。

「はい、これ」

輪がぐーを差し出す。

そのぐーの下に僕はぱーを出した。

輪が手を開く。

四角い何かが僕のぱーに落ちてきた。

「1日遅れだけどね」

四角いものをみると、それはチロルチョコレートだった。

「何個目だっけ?」

「…100個目」

「嘘つけ」

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