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独り歩き  作者: 殿邑誠
負の遺産
6/50

暇つぶし

土岡とラーメンを食べた後、僕は2人分の代金を払い店を出た。

土岡は用事があるらしくそこで別れた。

僕は今、特に意味もなく駅の方をぶらぶらしている。

ここら辺は田舎で駅の方には特に何もない。

不思議なことに新幹線だけは停まる。

利用したことは一度もない。

しかし僕が住む水無月市には水無月城というものがある。

まぁ城と言っても、観光名所作りのために最近作られた城みたいなもので、歴史もクソもない上に小さい。

五重塔みたいな形をしている城だ。

詳しい設計は知らないからなんとも言えないが。

しかし水無月城周辺はお茶とお茶菓子が楽しめる茶室やら美術館があった。

暇人な僕にはちょうど良い場所である。

ラーメンでお腹も膨れているので美術館に行けばいいか。

そんなことを考えながら、僕は美術館の方角へと歩き出した。

今は何を展示しているのだろうか。

前は有名漫画家が書いた絵を展示していた。

何が展示していても時間潰しになれば何でも良いのだ。

もちろん面白い展示の方が良いようにも思えるが、あまりにも面白いと混雑していそうで嫌だ。

そんなことを考えながら歩いていると、見知った顔が見つかった。

いや見知った顔に見つかったと言った方が良いだろう。

空を見上げていた彼女に、僕は見つかったのだ。

「あれ、とうくん」

彼女は僕の方を向いてそう言った。

とうくんとは僕のあだ名だ。

千頭絵投了のとうを取ったらしい。

あまりセンスのいいあだ名とは言えない。

「よう、(りん)

僕がそう答えると、(はやぶさ)輪は微笑んだ。

隼輪。

僕の幼稚園時代からの幼馴染。

僕や土岡正志と同じく無効坂高校へ進学する生徒の1人。

肩まで届く、黒く美しい黒髪と糸目。

身長は僕より少し高めだ。

「何してるの?」

「暇だから美術館に行こうと思ってな」

「へぇ、いいね、水無月城の近くの?」

「そう」

「私も行っていい?」

「いいぞ」

そう言って僕たちは美術館への歩みを再開した。

「そういえば」

「ん?なぁに?お姉さんに質問?」

「お姉さんぶるな同級生、いや、なんでお前がここらへんをぶらぶらしていたのか気になってな。事件か?」

「入試が終わって暇になったからだよ。とうくんと同じだね」

「そうか」

「まぁ例え事件であっても、私にかかればすぐ終わるよ」

「じゃあ毎回僕のこと呼ぶなよ」

「いやぁ、まだとうくんの協力は必要だよ」

「ふん」

全くしょうがない幼馴染である。

「照れてる?」

「照れてない」

「照れてるよね?」

「…それにしても寒いな」

「うわ話逸らした?けど私のことを舐めてもらっちゃ困るなぁ。つまりその寒いってのは君より大きい私の身体で抱擁してほしいっていう意思表示だよね?」

「全然違う、なんだその都合のいい解釈。我田引水が行きすぎてるだろ」

「我田引水って言いたいだけでしょ」

「なぜバレた」

「手に取るようにわかる。手玉に取っているのよ」

「なんてことだ、僕は輪の手のひらの上で踊っていただけなのか?タップダンスを」

「なんで床へのダメージが多いダンスを踊っているの?嫌いなの?」

「僕を手のひらに置くっていうことは、それなりの危険性があるんだぜ」

「かっこい〜」

まずい、会話の内容が薄すぎる。

馬鹿話にも程があるだろ。

そんなことを考えていたら美術館についていた。

さて、それじゃあ暇でも潰しますかね。

僕たちは美術館に入る。

今回の展示は『世界の小石展』だった。

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