自分のために
「風紀委員」
無効坂高校の超常力者には3種類の生徒がいる。
委員会に所属する生徒。
部活に所属する生徒。
どちらにも所属しない生徒。
委員会、部活に所属すると言うことは何かしらの集団の一員になるということ。
『お宝』争奪戦にも集団として争うことができる。
単純な数の利。
因みに委員会も部活も一般人と超常力者で分けられている。
どんな委員会と部活があるのかは知らない。
しかし、投了はすでに答えを決めていた。
「入ります」
「お、マジで?」
「入りますよ、神座持先輩には何回も助けていただいたわけですから」
「ふぅん、いやまぁそんなつもりは全然なかったんだけどね」
「…とにかく、しっかりと所属するつもりですので安心してください」
「ありがとう、そうだ本当に申し訳ないんだけど黒谷くんは殺し損ねたよ」
「いや、そんな、そこまでは求めてないですよ」
「いやけど本当に申し訳ない。今日は早退するから君が下校する時は護衛できないんだ」
神座望は息をゆっくり吸う。
「下校の時の黒谷くんは自分でどうにかしてね」
午後4時、今日のクラス同士の顔合わせやら内科検診やらが全て終わり解散した後の静かなグラウンド。
今日は部活など行われていないようだ。
そこに立つのは2人の男子生徒。
「よぉ、千頭絵」
「殺しに来たぜ」
学生服に身を包んだ男は投了に向かってそう言った。
黒谷。
もう1人のグラウンドに立つ男が恐怖する相手。
圧倒的な力を持つ男。
「なかなかに本気じゃないか」
黒谷は投了の全体を見てそう言った。
確かにその通りだ。
投了は完全装備。
今もてる力を全て装備したという感じだ。
できるだけ強い組み合わせの兵装。
それだけではない。
今の投了の身体には兵装内部にある術式と同じような式が気により書かれていた。
兵装内部には超常力に酷似した現象を起こすために術式が気により書かれている。
その気によって出来た式に更に気を流し式を補強することによって超常力に酷似した現象を起こすことができる。
起こしたい現象によって書く式は様々。
今の投了は身体中に様々な式を書いている。
誰にだってできることではない。
兵装作りの家系、千頭絵家の人間だからこそできる荒技。
身体に仕込んだ式は一度使えば焼き切れる。
全力。
それが今の投了に似合う言葉だろう。
「少しは楽しめそうだ」
その言葉と共に投了は刀を抜き、黒谷は構えを取る。
「虎」
その瞬間、何かが空気を裂いた。
いや、裂かれたのは空気ではなかった。
それは炎。
虎だった。
土岡を1発で倒した虎は投了が振り下ろした刃によって真っ二つに裂かれた。
「…くく」
その光景を目の当たりにして、黒谷は笑みを浮かべていた。
投了は恐ろしい速度で黒谷に接近する。
黒谷はボウ!と手のひらから炎を出す。
その炎は剣の形となり黒谷に掴まれる。
炎の剣と兵装の刀がぶつかる。
「やるなぁ!千頭絵投了!!最初っからその力を出しておけば!土岡は無傷だったかもしれないのになぁ!」
黒谷は炎の剣を振る。
投了は刀身で炎の剣を受ける。
「怖かったか!?俺と戦うのが!?そんなに!!」
「ーーあぁ!!」
今度は投了が刀を先に振る。
炎の剣が投了の刀を受ける。
「怖かったさ!今も怖い!けど!」
もう一度、刀を振る。
土岡が倒れた今、神崎望先輩が帰った今、自分のために、仲間のために戦えるのは自分しかいない。
「僕は戦わなくちゃいけないんだよ!」




