愛する条件
下僕の俺が、主たるあなたに。
そういう時の、ルクシナード様の目は本気だった。
本気でそう思っている人の瞳だ。
「ルクシナード様」
「なんでしょう、ミレシア」
なにから言えばいいのかわからないけれど。
ひとつひとつ、頭の中を整理して、言葉を選んで、話す。
「私はあなたの妻です」
「……!」
ルクシナード様は、体をのけぞらせた。
「ルクシナード様?」
「いえ、あなたから言われると、破壊力が桁違いだったので……」
その言葉通り、ルクシナード様の顔は真っ赤だった。
つられて、私の顔も赤くなりそうになるけれど、話が進まないので、深呼吸をしてなんとか抑える。
「とにかく、私はあなたの妻ですね?」
「……はい」
ルクシナード様はまだ照れくさそうに頬を押さえながら、頷いた。
「だったら、私たちは対等です」
「!?!?!?」
えっ、ええー!?!?
そんな信じられないものをみたような顔をされるの!?!?
「俺とミレシアが対等……!? そんな、おこがましーー」
「では、聞きますが」
私は咳払いをすると、ルクシナード様を見つめました。
「ルクシナード様は、言いましたよね。私を愛していると」
うっ、これ自分で言うの、かなりのダメージがあるわね。
恥ずかしいにもほどがある。
「……はい」
恥ずかしさでめげそうになりながらも、ルクシナード様が頷いたのを確認して、話を続ける。
「ルクシナード様は、私がいずれあなたを愛さなくてもいいんですか?」
「えっ」
わー、すごく上から言ってる。
相手は、冷酷皇帝なのに!
でも、ルクシナード様はそんな私の言い方には気にすることなく、むしろ、内容にかなりショックを受けていた。
ガーン、という効果音が聞こえそうなほど、落ち込んでいるルクシナード様に慌てて捲し立てる。
「そもそも愛とは対等なひと同士が育むものだと思うのです。なので、私たちは、対等です!」
過去に何があって、ルクシナード様と私との関係がどうだったのか、さっぱり思い出せないけれど。
うん、それだけは確かだと思うから。
「でも、でも、俺はミレシアの下僕で……」
「本当に下僕なら、私のことをまず呼び捨てにしないと思います」
「!!! ……たしかに」
たっぷり10秒は衝撃を受けた後、ルクシナード様は頷いた。
「じゃあ、今からでもミレシア様とーー」
「私の話を聞いていましたか?」
私はルクシナード様を見つめ、やけくそになりながら叫んだ。
「私に愛して欲しいなら、その下僕とか主とかやめてください!!!!」
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