表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甘すぎ旦那様の溺愛の理由(※ただし、旦那様は冷酷陛下です!?)  作者: 夕立悠理


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/16

いつから

 ……懐かしい夢を見た。

 夢だとわかる、もう二度と戻れない過去。

 その愚かさと眩さにくらくらする。


 できれば、見たくない夢だった。

 これ以上、過去を思い出したくないので、どうにか意識を覚醒させようとする。


 すると、ふわり、と温かいものが私の頬に触れた。

「……ぴ!」

 ぴ?

 聞き覚えがあるその鳴き声に、意識が急速に浮上していく。

「……ん」

 まぶたを開けると、心配そうなルクシナード様と小鳥がいた。小鳥の緑の羽も、つぶらな青の瞳も見覚えがあった。


 馬車で移動中の時についてきた小鳥だった。

 ……転移後は姿が見えなかったから、てっきり転移から逃れられたのかと思っていたけれど。


「ミレシア、大丈夫ですか?」

「はい。……ご心配をおかけしました。少し驚いてしまって」


 辺りを見回すと、どうやら夫婦共有の寝室のようだった。


「ところで、この小鳥は?」


 緑の小鳥は、首を傾げて私を見ている。

「紹介がまだでしたね。……この小鳥はイオ。俺の従魔です」


 従魔とは、人と契約した魔法生物を指し、従魔は契約により自由ではなくなるものの、魔力を契約者から与えられるのだ。


「あなたが隣国からこちらへ来る際に、護衛を頼みました」

「……そうだったのですね!」


 魔力量に応じて、従魔は自由に姿を変えられる。だから、この小鳥が護衛をしてもちっとも不思議ではない。


「はい。イオ、ご挨拶を」

 ルクシナード様の言葉に、イオは、ぴ! となくと、イオが光に包まれる。


 そしてイオを包む光が解けた時、可愛らしい男の子が立っていた。緑の髪に青の瞳は小鳥のときと同じだ。


「ぼく、イオ。ルクシナード様がそばにいられないときは、ぼくがミレシア様を守るよ!」


「イオ、よろしくお願いします」


 イオはふんわりと笑うと、また小鳥の姿になった。


「……ところで」

 ルクシナード様は首を傾げた。

「ミレシア、体の調子はどうですか?」

 そうだった。

 城の案内をしてもらっていたのだったわ。


「はい、全く問題ありません。また案内していただけますか?」

「はい、それはもちろん」


 ベッドから起き上がり、寝室を出る。

 賭けのこともあるし、今度こそしっかりと案内を聞こう。


 ……それにしても。


 ーー建て替えました。


 ぴかぴかの笑顔で言われた先ほどの言葉を思い出す。


 建て替える、と言葉で言うのは簡単だけれど、相当な時間がかかるはずだ。

 ……いったいいつから、ルクシナード様は私を望んで、待っていてくれたのだろう。



「ミレシア?」

「いえ。……何でもありませんよ」


 不思議そうな顔をしたルクシナード様に微笑む。


 それだけの想いを返せるかはわからないけれど。まずは、目の前のことに一つ一つ集中しよう。

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ