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箱入りのお嬢さん

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

分からずとも、少しの生々しさを。


女は物静かな場所を好んだ。人が行き交う喧騒の街も、機械音ひしめく鋼鉄の集合場も、好む事はなかった。だから何時も訪れる場所というのは、開けた緑の土地だった。

聞こえるのは鳥の囀り、ささやかな風、そうして数人の足音。ただ静かな時間だけがこの場所に流れている。時折遠くで聞こえる子供の叫び声も、背景音楽として機能していた。

「良い土地だわ。いつ来ても。これくらいが丁度良い」

女は近くのベンチを見掛けると、それに向かって一心に歩みを進めた。隣を寄り添うようにして座ると、ただ静かな時間だけが辺りを包む。

突如、バサバサバサバサっと、何かがはためく音がした。数え切れない程の鳩が散り、疎らな土の上に降り立つ音だった。風と羽音、それだけが俺達の間を突き抜ける。

「精神は落ち着いたか?」

「えっ?」

此方を向く。何の事か分からないと顔に大きく書いてある。

隣の女は箱入りのお嬢さんだ。人が行き交う喧騒も、機械音ひしめく鋼鉄場も、……甲高い子供の声も好まない。ただ物静かな場所で、何をすること無くぼんやりする事を好む。

当の本人が気付いているかは分からないが、それらを一遍に浴びせ掛けると、黙って俺の手を握り締める。何かを堪える様に。抗う様に。

「何でもない。……○○、お前は……」

次に続く言葉が出てこない。

俺達は互い両親が公認した婚約者だ。そう言えば聞こえは良いかも知れないが、その実、政略結婚の相手。女はまだ男という生き物を理解して居ないまま俺に会い、将来を約束された。無垢な女に与えられた最初で最後の男。まだ籍は入れていない。けれども親の顔を見る度に空気感で伝わる。『孫の顔が見たい』と。

女は騒がしい場所、人間を好まなかった。それは例え年端もいかない子供とて例外では無い。女は、きっと自分の身に生命を宿す事を望まない。

「? 貴方の事は気に入っているわ。物静かで、穏やかで、何より声が良い。この土地を体現した様な方だもの」

どうやら次に続く言葉を『俺の事をどう思ってるか』と予測したらしい。それからまた静謐な時間が流れた。俺の問は腹の中に抑え込まれた。

序盤の場面描写を思い返して、書いてみて、やっぱり実物が前にないと何とも言えない気持ちになります。

短か過ぎた事と、何かしら書きたくてこうなりました。


箱入りのお嬢さんです。

故に騒がしい人も場所も気が滅入ってしまうので好みません。

それは例え子供であっても。

何も知りません。だからこのタイトル。


親からの『孫の顔が見たい』。

けれどもきっと隣の女はそれを望まない。

それでも一抹の期待を込めて聞こうとして、結局黙ってしまう話でした。


負けヒロイン見るのか辛っれぇですので、大抵カップルで出します。あ、でも殴り合いなら幾らでも見れます。


年末年始なので、何処の喫茶店も閉ざされてました。

チャイはどんな味なのでしょうか。

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