魔法を工夫してみる
僕とモルンは訓練するからと訓練場にでた。
「また猫を追いかけるの? あんなの、ほんとに役にたつの?」
「けっこうね。テオは、剣の師匠から練習すべきは体の使い方だって教わったんだよ。自在に動ける体が必要ってね」
少女たちはしばらくふたりを見ていたが、みんなには仕事があるからと、手をふって見送ってくれた。
昼までふたりは魔法と体を動かす訓練をした。モルンが周りで見ている猫たちに近より、すぐ戻ってきた。
「なんだろね。参加してもらおうと思ったんだけど、テオを警戒してるんだ。ボクのことも、主さんだっていうんだ。おかしいんだ」
僕とモルンを怖がっているようで、参加しないかという誘いに、良い返事はもらえなかった。
工舎で昼食を食べることにして建物に入る。もう人混みはなく、ベッラたちもいなかった。
受付カウンターでどこか安い宿はないだろうかと聞いてみた。僕から今いる宿を聞くと、そこは隊商の紹介がなければ利用できない、安くて良い宿だと教えられた。
冒険者向けは荒っぽく不潔な宿しかないとのことだった。
「今の宿でいい? でもお金稼ぐ方法は考えないといけないね」
「うーん……しゃべる猫は珍しいよね。お金を取って、しゃべるモルンを見物させるってのは? マルコみたいな猫好きには受けるかも」
「……テオ」
「ごめん。とにかく訓練して、魔力量を増やさないとだね。このままじゃあ何もできない」
翌朝、ふたりの魔力量は、少しだが回復しているようだった。朝から訓練場で魔法を使う。
ぷす、ぷす。
「ああ、威力がないなぁ」
「氷槍、太くできないし。細くてヒョロッとしたのが、やっと刺さっているくらいだね」
ぱち、ぱち。
「ドドォーンってならないなぁ。全然ダメだよ」
モルン得意の火弾も大きくは爆発しない。
的の丸太が少し焦げる程度だった。同じように的を狙って弓の練習している冒険者たちから、嘲りの笑いが聞こえてくる。
「……ふたりでひとつの氷槍とか、火弾を撃てないかな。威力が倍になるかも」
「ひとりで弱けりゃ、ふたりでって?」
「うん、試してみよう」
呼吸と詠唱を合わせていっしょに放つ。ふたつの氷槍が飛んで、的の上下に浅くささる。
「ひとつにならないね」
「短杖の先を合わせるのはどうかな?」
モルンが短杖を的にむける。僕は膝をつき、短杖の先端をくっつける。
「いち、にの、さん!」
かちんっ!
空中で二本の氷槍がぶつかって、大きく的をはずした。
「だめだぁ」
「そうだね。二本だしちゃだめか。うーん。まず、僕が短杖の先に氷槍を飛ばさずにだして、そこにモルンが魔力を重ねるようにする。譲渡するみたいに注ぎこむってのはどうだろう?」
「なんでも試そうよ」
僕が構える短杖の先が光り小さな氷槍が形成され、宙に浮いて細かく震える。
「いいよ!」
モルンの短杖が氷槍に触れて、光の筋が流れていく。
「テオ、いいよ!」
「さんっ! にいっ! いちっ! 撃つ!」
氷槍は飛びだし、的に刺さった。
「やったぁー!」
「いけた!」
周りの弓使いたちの矢取りにあわせて的に近づき、効果を確認した。ひとりで撃つよりは深く刺さっている
「威力は上がったけど、まだまだかな。オルテッサの悪党に使ったときより浅いんじゃない?」
「うん。撃つまで時間がかかるしね。もっと練習しないと」
「ボク、もう魔力はないよ」
「僕もだ。でも道が見えた気がするよ。訓練あるのみだね」
「おー!」
宿での充填、吸収の訓練は深夜までつづけた。明かり代がかかるので、暗い部屋で赤珠を握って魔力を使う。
ふたりは、アントン村ではそう悩むことなく簡単に充填ができた。吸収、譲渡もできた。
ガエタノからも、キアーラからも、やり方を詳細に教わっていない。
こうしたらどうか、ああしてはどうか、ぼそぼそと話し合いながら、練習するしかなかったんだ。
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次回は、「参加希望」
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