9話
side美咲
「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「どした陽凪?拾い食いでもしてお腹壊した?」
「いっつも思うけど私に対してちょっと酷くない!?」
「ひーはこれくらいの扱いがちょうどいいんだよ?」
「何それ!?私の扱いは雑でいいの!?私の豆腐メンタルがボロボロ崩れるぞ!!」
「おーおー崩れろ崩れろ。崩れた端から集めてごみ箱にシュートしてやるから」
「それもう私を殺しにかかってるよね!!」
うわぁんとまた泣くふりをして机に突っ伏す。コイツはいちいち大げさなんだよ。どうせ紗耶香さん関係なんだろうけどよ。
.................それにしても陽凪はまだ引きずってるのか。私もそうだけどな。
沙那さんは小さいころから私もお世話になった。陽凪の家にいけばいつも微笑みを浮かべて迎えてくれた。
お菓子だっていっつもくれて、遊び相手になってくれた。
だから私にとっても沙那さんは姉さんなんだよ。だから私だってまだ引きずってる。
でも陽凪ならそれ以上だろうよ。だってこいつは沙那さんにべったりだったからな。
男嫌いの原因となったやつから守ってもらって、それから唯一の家族となった時だってずっと陽凪の側にいて慰めてた。
だから陽凪は耐えられないだろうよ。たとえもう2年経っていようともな。
「で、さっきは叫んだ本当の理由はなんだ?」
「ひーのことだからしょーもないことなんじゃない?」
「しょーもないって最初から決めつけないでくれる!?」
復活したとたんまた騒がしくなった。
「ほら早く言ってよ。聞かないと私達は何も言えないぞ?」
「うんうん」
私の言葉に未空がうなずく。陽凪は本題に入るまでが長いんだよ。
「それがですね。昨日紗耶香さんの帰りが遅くて色々不安になってしまったんですよ」
「ほう」
「それでですね。帰ってこないなーって思いながら玄関で待ってると眠くて寝ちゃったんですよね」
「それで?」
「当然紗耶香さんに起こされたわけなんですが、その時の記憶がとても曖昧でいまいちよく覚えてないんですよね」
「だから?どうしたのよ」
「ここからが本番で私この年になっても紗耶香さんに抱きしめられたまま寝ちゃったんですよ」
「ふーん」
「それがものすっごいハズイ!!私ってば高校生なんだよ!?なのに子どものように紗耶香さんにしがみついて寝てたんだよ!そりゃ驚くよね!?起きたら紗耶香さんの寝間着掴んでたんだよ!しかもなんで紗耶香さんのベッドにいるかも覚えてないのも合わさってすっごいハズイ!!」
はぁ..........やっぱくだらねぇ。
「しょーもな!!そんだけで叫んでたのかよ」
「しょーもないとは何か!?ゆゆしき事態だろ!」
「別にいいんじゃない?ひーの甘ったれな部分は今さらだしね」
「誰が甘ったれじゃ未空!やるか!?私と一戦交えるか!?」
教室内なのにギャーギャー騒いでうるさいっての。
......................まぁでもこれが陽凪にとってガス抜きになるならいいけどな。
コイツはストレスとかを溜めて溜めて溜めて自爆させるタイプだから適度に発散させないとな。
このぐらいしか私にはできない。だからできる範囲で付き合ってやるよ。
だって私はコイツの親友なんだから。コイツを見捨てないのは当たり前だよな。
コイツを甘やかすのは紗耶香さんやうちの母親がする。
でもコイツと軽口をたたいて、一緒に遊んで、楽しんで、悲しんで、泣いて、怒ってをできるのは親友の役割なんだから。
だからこれぐらいでちょうどいいんだよ。
コイツがどう思っていても私はそうする。それが私の決めたことなんだから。
じゃあまずはギャーギャー騒いでるお子様に現実を教えてやるか。
私の親友である陽凪はどれだけ甘えん坊の寂しがり屋なのかを思い知らせてやるためにな。




