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56話

 緊張する。


 この前は美咲から逃げた感じだったから今日会うのがあの告白以来はじめて。


 何言われるんだろう?もしかしたら何も言われないかもしれない。無視されるかもしれない。いないものとして扱われるかもしれない。


 それでも良い。


 私が決めたことなんだから、あらかじめ覚悟してたことなんだから大丈夫。


 すっごい胸が痛くなるかもしれない。でも我慢する。


 これが私の決めた覚悟。


 それだけ美咲を傷つけたのならその報いを受けるのは当然。


 でもなんで?どうして?


 どうして笑ってるの?どうしてそんな穏やかな表情してるの?


 さっき私が教室に入って来た瞬間、なんでそんなに安心した表情をするの?


 意味分かんない。理解できない。


 なんで私を見てそんな表情ができるの?


「おはよう陽凪。昨日紗耶香さんからこっそり連絡あったから心配してなかったけど、連絡もなしに帰ってこないのは止めてくれよ。心配するからさ」


「................うん、ごめんね。おはよう美咲」


「どうしたそんな顔して?何か変な所でもあるか?」


「ううん、別にないよ」


「..........ん?それならこの前のことか?あんなこと言われて私が落ち込んでるとでも思ったか?」


「...................。」


「図星、って顔してるぞ」


「だって......仕方ないじゃん!!」


「言ったろ?私は陽凪の親友なんだって。あんぐらいのことであんたの親友止めるかって話」


「でも!!!」


「陽凪の中ではもう終わったことなんだろ?だったらもうむし返すな。私は全然、何とも思ってないけど陽凪は辛く感じてるんだろ。その証拠に昨日突然いなくなったしな」


 なんでそこまで言い切れるの?なんでそんな明るい表情できるの?


 だって私は美咲を拒絶したんだよ?なのになんで?


「それに、私は結局は今まで通りなんだよ。陽凪のことを思って行動する、これには変わりない。私が勝手にやるだけで陽凪は鬱陶しく思ってるだけでいいんだよ。これはただの私のワガママなんだから。まぁ簡単に言えば私にとって今までは陽凪公認のお節介が、非公認のお節介に変わっただけだしな」


 あぁ..........やっぱり美咲はまぶしいな。


 私ごときが釣り合う存在なんかじゃない。だからこれで良かったんだ。


 まだ胸にチクリとした痛みはあるけど、こんどこそは大丈夫。


 もう未練なんてない。


 ありがとう美咲。これからも仲良くしてね。



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