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35話

 タクシーを捕まえて急いだけれども病院と私の職場とは距離がかなり離れているからまだまだかかりそう..........。


 美咲ちゃんが言うには陽凪ちゃんは目覚めてはないけど元気だって、特に何も異常はないらしいからひとまずは安心できるわ。


 ただ美咲ちゃんのお母さんがすっごく怒ってるんだよね。


 陽凪ちゃんと一緒に暮らす時にだってちゃんと責任を持てるのか、陽凪ちゃんを泣かせないようにできるのかとか色々言われたから今回絶対何か言われる。


 陽凪ちゃんを改めて養子に迎えるとか、一時的に私と陽凪ちゃんを離すとかね。


 .............私は何を言われても受け入れようと思う。だってちゃんと陽凪ちゃんとコミュニケーションが取れれば防げたんだから。


 陽凪ちゃんが悲しまないように、寂しくないように、泣かないように私なりに頑張ってきたつもり。1日に1回は肌を触れ合わせるようにしたり、仕事が終わったらすぐ帰るようにもした。その他にもいっぱいお話して遊んでいろいろしてきた。


 でも今になって気づいた。これって全部私がしたいからしただけだって。陽凪ちゃんのためとかって自分に言い聞かせて陽凪ちゃんのことを何も気にせずやってきた。


 私本位に考えてきた結果がこうなんだって分かった。


 それに私と陽凪ちゃんはこの2年間一緒に住んでるけど本音を言ったことがなかった。お互いがお互いに遠慮して表面的なことしか話さなかった。


 私としては陽凪ちゃんが話してくれるまでは私からいろいろなことを聞くのはしないって決めてた。私が能天気に陽凪ちゃんの触れられたくない所まで触れてしまうのを防ぐため。............ううん、そんなのは言い訳。ただ怖かっただけ。陽凪ちゃんの心に土足で踏み込んで、それがきっかけで嫌われたくなかったから。


 そんな理由で私は陽凪ちゃんと話すことを止めてしまった。


 あーあ、やっぱり私ってバカだなぁ。


 さーちゃんから託されたことを私はできなかった。あれだけ陽凪ちゃんを任せて下さいって美咲ちゃんのお母さんに大見えを切ったのにこんな選択を陽凪ちゃんにさせてしまった。


 だから怒られるのも責められるのも当然。それだけのことをしたんだから罰は甘んじて受けないとね。


 .................でもその前に陽凪ちゃんと話すことは許してほしい。自己満足だって分かってるけど陽凪ちゃんに謝りたい。


 私が陽凪ちゃんの家族になるよ、独りにさせないから安心して、もう大丈夫だよ私がいるからとか、陽凪ちゃんが欲しがってる言葉を無責任に言い続けてしまったから。


 言い続けてしまって、いつの日にか私は定形文のようにそれらの言葉を繰り返した。すこしでも陽凪ちゃんが安心するならって言い続けた。


 言い続けることによってその言葉の意味の価値を落としていたなんてことに気づかずに言い続けてしまった。


 だからそのことに気づいてしまった陽凪ちゃんが私のことを信じられなくなって、そして私が繰り返し言い続けてきた言葉を言う人も信じれなくなって今回のことにつながったと思う。


 ............こんな過ちは2度としない。誰からも信じられないだろうけど私はそう誓う。


 だって陽凪ちゃんなんだもん。私の可愛い可愛い大事な義妹。


 可愛くてちょっと抜けてるのに肝心な時には鋭くて、寝惚けたら幼くなったりしたり甘えんぼうなのに恥ずかしがり屋で思い出すたびに赤くなってプルプル震えて、そして独りになりたくないのに人間関係に不器用で言いたいことも言えない子。


 そんな子だから私が守ってあげたい。家族として、義姉として、年の離れた友達として、守ってあげたい。


 その気持ちに嘘偽りなんてない。


 だからもし許されるならもう1度2人であの家で一緒に暮らしたい。


 間違っちゃうかもしれない、お互いを傷つけあうかもしれない。でもそれでこそ家族って言える。


 遠慮なく自分の心をさらけ出せる人が家族。陽凪ちゃんにとってそんな相手に私はなりたい。


 だからこんな頼りない私でもお義姉ちゃんしても良い?


 さーちゃんの代わりなんて私にはできない。でも私にできる範囲で頑張るからもう1回あなたのお義姉ちゃんになっても良い?









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