33話
なんか上手く書けなかった気がします..........。もう少し上手く書きたかったけどこれが限界でした......。
side美咲
.................こんなことしてる場合じゃなねえ。早く陽凪を追いかけねえとな。
目に残った涙を袖で拭って地面に転がったリュックを背負って走って校舎を出て、急いで自転車に乗る。
とりあえず家に行かないとな。鍵は紗耶香さんから何かあった時使ってと言われて渡された鍵がある。エントランスを開ける方法は管理人に頼めば開けてくれるようにしてあるって聞いてるから遠慮なく入らせてもらう。
早く行かないといけねえ。陽凪が変なことをする前に。
普通に家にいてくれればそれでいい。笑ってごまかせば良いだけの話。もしごまかせないとしても何か詫びをすればいい。
むしろ笑ってごまかせるような事態だったらどれほどいいか。
自転車で走ること10分。そこに陽凪が住むマンションがある。
急いで管理人に話を通してエントランスを開けてもらう。鍵だって手元にある。
エレベーターに乗る。焦る気持ちを落ち着かせようにもできねえ。さっき思いっきり泣いて気持ちをスッキリさせたはずなのにどうしてもできねえ。
エレベーターが目的の階に着くとすぐに飛び出して陽凪の住む家に向かう。
頼む私の勘違いであってくれ。私が想像するようなことにならないでくれ。
インターホーンを鳴らす。...........反応なし。
............ヤバい。寝てるだけとか、イヤホンつけてて気づかないならいいけどそうじゃない気しかしない。
仕方ねえから勝手に鍵開けさせてもらう。
「陽凪!!いるなら返事してくれ!!!」
家の中は驚くくらい静かで不気味。...........最悪だ。
陽凪の部屋に行こうとしたらダイニングにある大きな机の上に紙が乗っていた。こんな時につい気になって見てみたが私が考える以上に最悪な展開だった。
『紗耶香さん今日までありがとう』
手が震える。意識が遠のくような感じがする。
頭がこの紙に書いてあることを理解しようとしない。書いてあることの意味は分かる。でもこれが意味することを私は信じたくない。
震える手をポケットにいれてスマホを取り出す。電話帳から連絡先をタップして電話をかける。
ワンコール、ツーコール、スリーコール.......出た。
「もしもし美咲?どうし「母さん!!陽凪が!陽凪が!!」.....美咲落ち着きなさい。陽凪ちゃんがどうしたの?」
落ち着けられるか!!今頼れるのは母さんしかいないんだよ!!
「落ち着けるわけねえよ!!ここ最近陽凪の様子がおかしくて、今陽凪の家にいるんだけど!!」
「いるけど?」
「..............『紗耶香さん今日までありがとう』って紙を残してどっかいった」
「........っ!?美咲!陽凪ちゃんがどこ行ったか分かる!?」
「分からないから母さんに電話したんだよ!!」
「........................分かった。美咲あんたはとりあえず陽凪ちゃんがどこ行ったか探してちょうだい。お母さんはお母さんで探すから」
「でもどうやって!!」
「陽凪ちゃんが家にいないならどこかに行ったってことよ。当然誰かが偶然陽凪ちゃんを見かけてるかもしれない。だから美咲はそこらへんを歩いている人やお店の人に陽凪ちゃんを見かけたか聞いて探してちょうだい」
「分かった!!」
それを聞いて私は陽凪の家をスマホだけを持って飛び出す。私にだってやれることが分かったんだ。ならそれを全力でするしかないよな。
――――――
「すみません。少し聞きたいことがあるのですが、この子見てませんか?」
「んー、見てないね」
「そうですか........。ありがとうございます」
スーツを着たおじさんに聞いてみたけどダメだった。次は..........。
「営業中すみません。少し聞きたいことがあるのですが、この子見てませんか?」
「........見てないね。ごめんね力になれなくて」
「いえ。ありがとうございます」
花屋のおばさんも知らない。.........今までいろんな人に聞いてみたけどダメか。
..........もしかしてこっち方面じゃない?だったら反対方向?
..........ん?電話だ。.........母さんからってことはなにか分かったのか!?
「もしもし美咲!陽凪ちゃん見つかった!?」
「全然!どこに行ったかも分かんねえ!!」
「陽凪ちゃん草薙橋を通ったのを見たって話を聞いたわ!!それも20分前くらいって言ってたから早くそっちに言ってちょうだい!!お母さんも今から行くから!!」
「分かった!!ありがとう母さん!!」
草薙橋っていえばここからまだまだまっすぐ行ったところだな。........よし!じゃあ走りますか!!
――――――
草薙橋にはついたけどこっからどうすればいいんだよ。もし私が考えていることを陽凪がしようとしてるなら人目のない所、でも見つかりやすい場所に行くはず。
なら川辺は..........ないな。隠れらる所なんてないし何より人目につきやすい。
それなら...........山しかないか。ここら辺には子供でも気軽に登れる山がこの先にあったはず。とりあえずそこに行ってみるか。
ハッ........ハッ.......ハッ........。おっと人発見。とりあえず聞いてみるか。
「す、すみません。少し、聞きたい、ことが、あるのですが」
「えっと........大丈夫?」
「お気に、なさらず。この子、見てませんか?」
「んーーーー、どっかで見かけたような?」
「ほんとですか!?どこで見かけましたか!?」
「ちょ、顔近い近い!」
「.....!失礼、しました」
「えーっとね..........思い出した!!この先に山があるじゃない?」
「はい!」
「そこの展望スペースにいたよ。なんか暗い表情で街を見下ろしてたけど何かあったの?」
「ほんとですか!?ありがとうございます!!!」
よっしゃ!陽凪がどこにいるか分かった!ならそこまで突っ走るだけ!
「あ!ちょ........展望スペースの近くに脇道あるけどそこには行かないようにねー!危ないからー!」
「ありがとうございます!!!」
――――――
やっとついた...........。母さんから連絡をもらって40分。さっきの人から話を聞いて約15分。あとは探すだけ。
来る途中に母さんにも連絡してここに来るように伝えたから来るはず。たぶん車で来るからもうそろそろだな。
.............見渡す限りではいないな。ならさっき聞いた脇道に行くか。多分そこにいるだろう。
展望スペースに続く道から外れた脇道を進む。整備もろくにされていなくデコボコした道を走り抜ける。
たしかここを進めば開けた場所に続くはず..........。
なんで知ってるかって?.........今思い出したがここは小さい頃私が陽凪を連れまわして遊んでた時に来た場所の1つだからだよ。
周りは暗くなって、足元なんてぼんやりとしてしか見えない。それに明るくても私なんかに誰かが通った後を探せなんて言われても無理だよ。だから開けた場所に出るまで突っ走る!
.............ハァハァハァ。やっとついた。
......................!?な、んで、陽凪のリュックが、ここに.......。
.......っていうことはこの近くにいるってことだよな。
落ち着け私。まだ間に合うかもしれないんだよ、私が焦ったら助けたい人も助けられなくなるだろ。
ゆっくり周囲を見渡す。..................特に変なものはない。
ならリュックの近くの茂みを...........。マジかよ.....。
嘘だろ?..............嘘って言ってくれよ。なんで私の勘は当たるんだよ!なんでこんなことしたんだよ!!
何があんたを追い込んだんだよ!何があんたを否定したんだよ!何があんたを認めなかったんだよ!
そこまですることをされたのかよ!!
私達じゃ、味方になれなかったのかよ...........。
なぁどうなんだよ陽凪!!
補足説明
陽凪は市販の睡眠薬を飲んで、効き始めたころにリスカしました。
この後美咲は展望スペースに着いた美咲の母から電話を受け、何をしたらいいかの指示を受けてます。応急処置に救急車を呼ぶこと。そして何よりパニックに陥っている美咲をなだめています。
 




