3話
言い忘れましたがこの作品は会話文中心となるかもです。
「お疲れ紗耶香。今日はもう帰るの?」
「お疲れ舞。我が家で愛しの義妹様がお腹空かせて待ってるからねもう帰るよ」
「で、今日は部長どうだったの?」
「相も変わらずよ。ずーっと鼻の下伸ばしたまま『秋庭君、今日はどうかね?』だって。もちろん『お断りします』って返したわよ」
「まぁ断るのが最善よね。あの部長紗耶香を見る目、思い出しただけでも寒気がするわ」
「いい加減諦めろって感じよね。そもそも私は結婚はしてないけど愛する人がいるんです!!」
「あれ?新しい人でもできたの?」
「なわけでしょ。私の心は今も昔も、そして未来もあの人の物よ。はぁあ明日から結婚指輪つけてこようかしら」
「あら?紗耶香そんなもの持ってたっけ?私1回も見たことないけど」
「そりゃそうよ。大切に家に保管してありますとも」
「なんでつけないわけ?」
「いろいろあるんですよ」
そういろいろあるのよ。あれを見る度にさーちゃんのことを思い出してしまう。
キリっとした顔立ちをしてて、時折見せてくれる笑顔はすっごく可愛くて、陽凪ちゃんを見る時は母親のような優しくて温かい目をしてると思ったら、父親のような威厳のある顔をしてて、陽凪ちゃんが拗ねたり泣いたりしたら姉として甘やかしていたあの時を思い出すから。
もちろん私とさーちゃんとの思い出もたくさんある。でもさーちゃんが生き生きとしてたのはいっつも陽凪ちゃんに関係することだった。
『あの子が私の手元から離れていくって考えると寂しいな。でもいつかは来るんだからその時が来たら笑顔で送り出してやることが私の今の夢だ。叶ってほしくもあり叶わないでほしいとも思うがな』
これがさーちゃんがお酒に酔いながら嬉しそうに言ってたこと。
もちろんこの言葉は真実だし、後日確認したら『紗耶香も一緒に陽凪を送り出してくれよ?』って言われた。その時もいつも通り無表情に近い顔をしてたけど寂しさと優しさ、嬉しさを混ぜたような顔をしていた。
こんなさーちゃんが好き。私のことも愛してくれるけど陽凪ちゃんに姉として、母として父として接しているさーちゃんはもっと好き。
だから私はさーちゃんからもらった結婚指輪をつけたくない。
もう二度と会えないって分かってるのに会いたくなってしまう。もう二度と触れられないって分かってるのに抱き着きたくなる。
だから私は結婚指輪を封印した。
「おっともうこんな時間。それじゃ舞私は帰るね」
「オッケー!今度あなたの恋人紹介して頂戴ね!!親友として見定めてあげる」
「なにその上から目線な物言い。そんな舞には絶対に紹介してあげないもん」
ひらひらと手を振ってエレベーターに向かう。
まぁ紹介するも何ももういないんだけどね。真実は闇の中ってね...........違うかもだけど。
さて帰ったら何しようかな?
とりあえずビールは飲むにして..............陽凪ちゃんとゲームでもしようかな?
そういば家にゲームなんてあったっけ?
まっなかったらなかったらで違うことで遊べばいいっか。




