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悪役皇女は二度目だけど溺愛ENDに突入中  作者: 人参栽培農園
皇女やり直し編
3/37

2話・パーティーでの出会い

今回は一日に二回投稿させていただきます。

次回の投稿は今日の夜を想定しています。

 


 あれから数週間と経ったっけど、特別不思議なことはなかった。


 ノアが夜訪れることも無い。


あれはその場しのぎの嘘だったのでは?と思えてくる。

 右手に握ったペンをクルクルと指の上で回し天井を眺める。


(暇ね。久しぶりに庭でゆっくりお散歩でもしようかな)


 そうと決まれば有言実行。

 自分の邸の庭だが突然のお客様に備えて一応最低限の身なりは整えておく。それが一人前の淑女というものだ。


 庭では庭師のジャックが庭の一角にあるバラの木の手入れをしてくれていた。


 私と同じ色の赤バラの木だ。


 父は銀の髪をしていたから私の髪は母の遺伝なのかなって会ったことも無いけど勝手に思っている。

 昔は体に流れるこの王家の血だけが父と繋がっていた証拠だと思っていたけど、血があろうがなかろうが父とは繋がっていなかった。

 父と関わらないと決めた今では別に気にするほどのことでも無い。

 けれどやっぱり頭からあの人の顔が離れることは無かった。


(おっと、いけないいけない。こんなに暗い考えでは幸せ逃げるぞラヴィニア!)


 パンパンと自分の両頬を叩く。

 すると隣から「ふぉっふぉっふぉ」と独特なおじいさんの笑い声が聞こえてきた。声の主はジャック、あの優秀な庭師である。

 私の一人で思い悩む姿を一部始終を見ていたのかジャックは顎から生える白い髭をいじって「愉快じゃの~」って微笑んでくる。


 いや全然愉快じゃないよおじいちゃん。こちとら命の危機に瀕してんだよ。こちとらもう既に一回死んでるからね?


 こんなことおじいちゃんに言ったところでどうにもならない訳だが、せめて私に気づいたんなら一声掛けてよ。いきなり笑い声聞こえるのって結構怖いんだよ、おじいちゃん……


「近頃はよく外に出ているね~。元気なのはいい事だよ。若いね~」

「いやまだ八歳だからね?いくら若くても若すぎない?とゆうかおじいちゃんからしたら大抵の人は若いよ」

「ふぉっふぉっふぉ」


 笑えば済むと思ってるあたりたちが悪いおじいさんだよ本当。

 ジト目で見るもジャックおじいちゃんは目を細めて口角を上げるだけだった。

 こんなのほほんとしているドジなおじいちゃん。でも一番の年齢層で私を本当の孫のように接してくれるジャックおじいちゃんが私は好きだ。


 ここだけの話、実は彼の年齢はこの邸の七不思議に数えられているのだ。

 あの白髪で老人の姿をしているのは魔法で変わっているからで、本当は二十歳の超美男子だったり、とか、千歳を超える、それこそ母の祖母のそれまた祖母の更に母の頃から生きていてずっと仕えているとか。


 なんでこんな噂が流れているのかそれすらも誰にもわからないという……恐ろしい。


 七不思議を思い出し、ゾッと寒気が襲ってくるので両手で二の腕を擦り摩擦熱で温める。


「そうだそうだ。せっかく来たのだからちょいとこの木の剪定を手伝ってはくれませんか。あと少しなんですがね、姫様がいるとすごく助かるんですよ」

「私がいると助かる………? ふふふふ、やるわっ!やってやるわよっ!」


 おじいちゃんの「姫様チョロ」って声があの髭から聞こえたような聞こえないような…………私には聞こえなかったわ、うん。

 単純ガールだから褒められたら素直になんでもやっちゃう皇女様なのです。


 今回はバラの木の剪定が主な作業らしいが最近はあんまり庭作業を手伝ってはいなかったからか随分と腕前が落ちていた。

 ちなみに昔はかなりいい腕をしていて邸のメイドたちにも評判だったんです。

「きゃ~姫様かっこいい~」って言われてたんですよ、これでも。


「難しいわね………はあっ、疲れた~。ここのバラの葉っぱを綺麗に整えたいけど、全っぜんできない」

「バラは一番上から半分くらいまで切るのがちょうどいいんですよ。どーれ、お手本を見せましょう」


 それからものの数分で私の手こずっていたバラの木は綺麗に剪定された。

 それはもうプロの技としか言い様のないくらいの素早さと美しさ。無駄が無さすぎてむしろ怖い。

 見ているこちらは、おお~と拍手喝采。


 そんなこんなで剪定を進めていると遠くの方からバタバタと慌ただしいリディの叫び声が聞こえてきた。


「姫様ああああああああぁぁぁ! 緊急事態でございますぅうううう!!」

「へ?」

「さ、先程、城の方から連絡がございまして。明後日開かれる公爵家嫡男ユーリ・ロンド様の誕生日パーティに出席するようにと、陛下直々の命にございます」

「そのユーリ様の誕生日パーティに"誰が”参加するって?」

「姫様が、でございます」

「…………」


 言葉もでなかった。何せ処刑される前の私は社交界に出る十二歳の誕生パーティが初めて出席するパーティだったから。


(あれ、私の知っている歴史と違う。なんかズレてるぞ?)


 それに参加したところで他貴族から「幽霊姫」とか呼ばれちゃってる私がひとり孤立するのは目に見えている。

ということは考えられるのは父からの新手の嫌がらせか何かということだ。

 あ、頭が痛い……


 度重なるイレギュラーに脳が耐えきれずショートする。

 最近気絶し過ぎかもしれない。そろそろ寿命かも、とか思ってしまうあたりまだまだ若いわね。


 仕方ない、最近は出番が少なくて眠っている私の中の完璧皇女要素を引っ張り出して脱ぼっちパーティーよ。

レッツボッチパーリーナイトフィーバー!!


天高く「えいえいおー!」と片腕を掲げてマイナスにも近いやる気を無理やり底上げする。


「ひ、姫様? 大丈夫ですか?」

「へ? 何が?」

「以前まで、陛下から手紙が送られてきた際には大変喜ばれていらっしゃったのに。今日はその、なんというか」

「あー………」


自信なさげに心配してくれるリディに直ぐ返事を返すことは出来なかった。

 ため息の混ざった相槌。リディへ向けていた目を伏せ背を向けて、剪定されたばかりの美しい赤バラの側面に手を触れる。


「心配してくれてありがと」


決別の覚悟。それを比喩するかのようにバラの茎を手折る。

両手で丁寧に棘を取り、緑の茎の部分をやんわりと掴み運ぶ。

振り返り、ふと顔を上げたその先で、リディは不安だと言わんばかりに顔を歪め、両手を包むように握りしめていた。


だから私は笑顔でリディと向き合う。


私の身長に合うくらいまで屈むようお願いすると、疑問を抱きつつも要望に応えてくれる。


目線の高さが合う位置まで屈んだところでリディのふわりとした髪色の間に先程手折ったバラの花を頭に刺さらないよう気をつけながら刺し込む。


「──っ!」

「リディ。私は変わるわ。あなたやこの屋敷に住む大切な家族のために」


背中の後ろで手を組んで、ふわりとスカートを揺らす。


「だから、見ていてね」






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 そして、ロンド公爵家嫡男ユーリ様のお誕生日パーティ開催日当日。

 私、ラヴィニア・フローシスの現在の体調は万全である。しかし、精神とは時に体調とは異なる。

 私の精神状態はただいま非常に不安定なのです。

 それもそのはず。

 パーティーとは戦場よ……ぼっちにとっての戦いは既に始まっているのだから!


「あああぁ、出たくない……すっっっごく出たくないわ。だって一人ぼっち確定なのよ? なんで自ら危険な猛獣の檻に飛び込まなくては行けないの」


「恐れながら姫様。猛獣は姫様の方でございます」


「ちょっとリディ、それどういう事かしら。全て終わったらゆっくり話し合いましょうね」


 馬車でガタガタ揺らされてパーティ会場へ向かっている私たち。

 本音を言えば会場内までリディが来れればなんの心配もないわけだけど、残念ながら使用人やメイドは入れないようになっている。私一人でぼっちの波を乗切るなんてっ……!


 今回のパーティの主催ユーリ・ロンド様は私と同じ歳だからその辺の年齢層の子が集まるらしい。

 見た目は八歳の子供でも中身は二十七歳のお姉さん。たかだか子供のお遊戯会でビビることはないわ!

 自己暗示をかけるコミュ障(仮)皇女。

 そんなこんなでひとりブツブツ呟いているうちに場所が止まる。窓を覗くと大きなパーティ会場が。


 あれやこれやとリディに後押しされ、いつの間にかぼっちで会場内にいる。ちなみにリディと馬車は私を置いて颯爽と別邸へ戻って言った。あの薄情者め。



 パーティの始まりは主催の挨拶で始まる。それまでは各自挨拶回りをしているのが基本なのだが。


(私挨拶する人ほど仲良い人なんて居ないしな。今まで他の貴族の方にあった事すらないから顔も覚えていない……本格的にヤバいわね)


 主催の顔すら分からない。もう右や左どころか前後上下全て分からない。ヘルプを呼ぼうにも主催者の顔もわかりませんなんて言う女「さっさと出ていってください」って追い出されちゃうかも。

 それにさっきから何か視線や話し声が聞こえてくる。内容は「幽霊姫」のパーティ出席についてだろう。

 そりゃ驚きますとも。いつも城の中で引きこもってばかりの姫が突然出てきたら誰だってそうなる。


(ひきこもりたくてひきこもってるわけじゃないけど)


 噂話に耐えながら主催の挨拶が始まった。

 私はかなり遠くにいて結局シルエットしか分からなかった。

 やがて挨拶も終わり周りの人達はみんな食事を始める。

 始まってからもうそれなりに経つけど誰も私に近寄ろうとはしない。ぼっちは辛いわ……

 用意された食事をお皿に盛り付けた後、私はその場の雰囲気に耐えられずにバルコニーへの一時避難を余儀なくされた。


(本当に疲れる。私の一番初めに主席したパーティの時も大分疲れてた気がするのよね)


 タイミングよく中ではメニューの追加があり八歳前後の子達はみんなそちらへ行ってバルコニーは人がいなかった。


 月を見ながら手に持ったワイングラスを口へ運びグイッと一気飲みする。中身は勿論安心安全なぶどうジュース。

 ヤケ飲みした所でワインでもお酒でもないから酔いもしないしこの日の記憶を忘れることも出来ない。

 どうして父はこのパーティへ私を行かせたんだろう。本当にただの嫌がらせなのか?

 それにしては今回タチ悪すぎる気がするよ私は。今までで一番の精神攻撃を受けているぞ。いい加減友達のひとりやふたり……うぅ、涙が出そう。


「貴方もここで時間を潰していらっしゃるのですか?」


 どこから湧いたってくらい突然隣から声が聞こえて肩が震えた。


 隣に立つ少年はどこか貼り付けたような笑顔で気さくに話しかけてくる。

 この美少年どこか見覚えがある……

 あっ、さっき主催者挨拶していたユーリ・ロンドだ。切り替え切り替え。

  ニッコリ天使のような微笑みで、


「ラヴィニア・フローシスです。本日はこの大変良き日にお招き頂きありがとうございます」

「私はユーリ・ロンドと申します。こちらこそ本日皇女様にお越しいただき誠に嬉しく思っております」


 一度目の人生から鍛え上げたこの完璧な淑女としてのマナーはどんな時だって適応可能なのよ。


 淑女の模範の様に挨拶をする。

 対するユーリ様も八歳とは思えないほどの礼儀正しさで挨拶を返してくれる。


「顔をお上げください。ロンド様」

「ラヴィニア様は皇女様であられます。いつかこの国を統べる方となるのですから私など適当にあしらってくれて構いません」

「そんな訳には行きません。それが将来この国を支える方なら尚更敬意を払うべきでしょう?」

「………姫様は八歳とは思えないほどに大変賢く礼儀正しくあるのですね。さすがです。私も見習わなくては」


 まただ。またあの貼り付けたような笑顔。

 どうしてこの人はこんな顔をするんだろう。


(私が一応皇女だから気を使っているのかしら。

 でもそれだけじゃないと思うんのよね。何故かって? 女の勘です)


  しかしこのまま心を殺していたら、いつか私のようにもっと苦しくなってしまうかもしれない。


 帝城で味方なんていなかった。

 誰にも相談なんて出来なかった。ただただ我慢して心が壊れていくのを感じていた。

 そしたらいつしか本当に壊れてしまっていた。


 彼もまだ八歳だ。

 だからこそ、今ならまだ彼は間に合う。

 壊れなくて済むはずなんだ。


 歩み寄るための一歩を勇気を振り絞って踏み出す。


「ロンド様、私の勘違いでしたら申し訳ございません。もしも何か張りつめていらっしゃるなら、私といる時だけでもリラックスしてくださいませんか?」

「っ!」


 反射的に虚を衝くような反応を示したユーリ様。


「なんの、こと、でしょうか………」

「この際はっきり言わせて頂きますとですね」


  ここまで来たらもうヤケクソだ、と一つ咳払いをする。

  人差し指をユーリ様の顔の前に突きつけて、言いたいことを全部言い切る。


「何か我慢していたりして心を殺しているように見えて、それがすごく私に似ているように感じるのです」

「姫様と、ですか?」


 怪訝な顔をして首をコテンと傾けるその動作も可愛いなんて、女として負けた気がするわ。

 一人項垂れる私をスルーするか如く未だに頭に?を浮かべている。

 彼が今どんな気持ちなのか、正直なところよく分からない。

 けれど私と一緒にされて嫌がっているように見えてしまうのは私だけでしょうか。

 こんな所で好感度下がるなんて私嫌よ!?


 しかしそれも勘違いだったようで、


「姫様と一緒なんて、そんな恐れ多いです。皇女として姫様が日々積み重ねてきたものと私の悩みが同じ位にあるなんて」

「あら、悩みあるじゃない」

「…………すいません。失言です。どうかお気になさらず」


 えーい、まどろっこしいわね。


  心の中の私は綺麗に整えられた髪をクシャクシャにしてパンチとキックをひたすら繰り返している。現実の私はもちろん鉄でできた笑顔という仮面を剥がすことなく丁寧に対応。


(皇女だって貴族だって一人の人間よ。悩みもありゃあ相談だって乗るわ………まあ無理に話せとは言わないけど、心配すぎて今夜は眠れそうにないわね)


 手すりに両手をかけて俯く姿勢も美しい。女として負けた気がするわ。

 ムカッとしてもうどうにでもなれと内心思い、早速行動に移す。


 大きく息を吸い込みガシッと彼の両肩を掴む。


「悩みがあるのなら、抱え込んではダメよ! 自分の中だけに留めることは決していい事では無いわ! 時には辛いことを話したっていいのよ。どこにも拠り所がないのなら私があなたの居場所になる。人生ってのはね、最後まで抗ってこそ美しく輝くもんなのよ」


 彼を見てハッキリと言い放つその言葉はまるで自分に言い聞かせるように私の心にも突き刺さった。

 多少おばさんっぽい言い回しになってしまったけど、言いたいことは言ったし、伝わるか伝わらないからもう彼次第だ。

 これで万が一伝わらなかったらもう諦めよう。


(というか、いくら皇女だからって帝国に代々仕えている名門貴族の跡取りをこんな揺らして、同じ歳なのに年上ぶって色々言いまくって………私やばくない?だって後ろ盾いないのよ?唯一の家族はあのお父様よ?)


 その時、ゆっくりと顔を上げ私を見つめる青い瞳から涙が溢れる。


 変わらぬ表情から流れる涙は今まで抱え込んできた全てを洗い流すような優しいものだった。


「こ、これは違くて! 勝手に、出てきてしまっただけで」

「え?………え!?……ご、ごめんなさいぃぃぃぃ!」


 これでもう私の二度目の人生は終わりね、と思いつつもとりあえず全力で謝った。

  まだ見ぬ処刑台に立つ自分の姿を想像すると、泣けてきた。

  目を腫らす勢いで号泣する私とは裏腹に、綺麗な涙を数滴流す美少年。


(もうだめね、さようなら私の人生………叶うことなら次は一般市民へ生まれ変わらせておくれ)


  危うく号泣しながら昇天するという怪奇現象にも近い恥をかいて死にかけた私を現実へと引き戻したのは、明るい笑い声だった。


「ふふっ、あはは!」


 それは心からのものだった気がして、その時の私の安心感と言ったらそれはもうそこら辺のただの美少年の比じゃない。

  これ一つで生物兵器にもなり得る強力なキラースマイルだ。


「ありがとうございます。悩み事、と言っても本当にどうでもいい事なんです。強いていえば、パーティに来る女性が少々肉食で困っているとか、ですかね」

「本当にどうでもいい悩みね………あ、ごめんなさい。 貴方にとっては色々と大変なのよね。私はそんなに言い寄られたことはないからイマイチピンと来ないけど」


「アハハ」と乾いた笑みをこぼす。

 私の周りのメイドはみんな可愛いし、そんな中育ってきたから私の中の顔面偏差値は異様なパラメータをしている。

 あの顔にあのスタイル、そしてリディに至っては脅威のFカップ……

 私はまだ成長途中なのよ!


「私ももうちょっと可愛ければ、色んな方から婚約の話が来るのかなって~」


 なんて軽い気持ちでそうつぶやくと、


「そんな事ないですよ」

「え?」

「姫様は大人になられたらきっと多くの人の目を引くような女性になります」


 たとえお世辞でもこんなに真剣な顔で断言されるとこちらが照れてしまう。

 真っ赤になった顔を隠すように今度は私が下を向く。

 イケメンで更にこんな台詞まで言えちゃうなんて、はっきり言ってレベルが違うわよこの美少年。


「ロンド一族は昔から帝国を守る騎士として誇りを持ち、主に使えてきました。私も一人の騎士として必ずあなたを守り、主とし、この命を捧げると誓います」


 膝をつき私の手を取り、その甲にキスをする。

 ボボボッと茹でダコのように全身が干上がるのを感じ咄嗟に身を引こうとした。

 が、ヒールが突っかかり後ろへ転倒してしまうところを包み込むような感覚が私を襲う。恐る恐る目を開くとそこには顔面ドアップのユーリ様が、私を抱き抱えるように支えていた。


(イケメンのドアップはきつい!精神的に無理ぃ!お姉さん眩しすぎて死んじゃうっ……!)


「大丈夫ですか姫様」

「あ、はい。平気です。多分」

「先程私が言ったことは嘘偽りのない心からの言葉です」

「え、ええ……? あ、え?」

「それと次に会う時には私の事をユーリと呼んでくれたら嬉しいです」

「……は、い」


 意味深な笑顔を残しながら「では」と去っていく後ろ姿を見つめる。

 最後の方は勢いに負けて答えてしまったけど、あれでいいのか私。

 とりあえず、もう帰ろう。





 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 やっぱり帰りの馬車もガタゴト揺れが激しい。

 けど、そんなことよりも、ユーリ様のことを思い出すと心臓が、あいたたた。だがしかし、あれは恋愛感情では無い。あの王子様風スマイルにやられたのだ。


(だって精神年齢的には十一歳は下の男の子だしね、お姉さんは子供に恋愛感情を抱くようなロリコンにはなりたくありませんので)


 邸への帰り道、頭はユーリ様の意味深なセリフが頭を埋めつくした。


「誰か私の頭を正常に戻してくれ~」というラヴィニアの言葉はリディの「常に異常なんですから姫様はそれが正常です」というツッコミによって呆気なく消えてしまった……



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