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マリーと魔人達

「イリス、あの村の周りに魔物を配置せよ、あの村に勝手に侵入、または出るものは捕らえよ。それと村の者には手を出さぬよう言っておけ」


「かしこまりました、ただちに」


さてと、今日はこのくらいにして部屋に戻るとするか今後あの村をどうするかはのちのち考えよう。


ガチャ


「ほーらほら、おじいちゃんですよぉ」


「あーい!!」


「…」


「…」


「お帰りなさいませマリオン様、視察の方は上手くいきましたでしょうか」


ゼルは何事も無かったかのようにマリーをドラクの懐に戻す。幻覚だろうか、一瞬あの真面目なゼルがまるで孫をあやす、おじいちゃんのように見えたのだが。


「如何なさいましたか?」


「いや、俺の見間違いだった。それよりゼルここで何をしている」


「いや何、ドラクの食事の時間でしたので」


「そうだったか、てっきりマリーと遊んでいたのかと思ったのだが」


「まさか、ほっほっほ、この歳になってそのような遊びはしませんとも、それではマリオン様私はこれで失礼します」


「う、うむ」


ガチャ


っぶねーっ!!見られた?今見られた?あんなはしたない姿をマリオン様に見られたら、最も長くマリオン様に仕えている私の威厳が無くなってしまう。なんとか私のオーバータイムで数秒時間を止めて誤魔化しましたが危ないところでした。


「じぃじ、じぃじ」


「…」






「さてと、お掃除お掃除、特にマリオン様のお部屋は念入りにしておかないと、うふふ」


ガチャ


「まぁまぁ」


「あら、小動物いたのね、今から掃除をするの邪魔しないでくれる?」


「まぁまぁ」


「全く、物覚えの悪い子ね、私は貴方のママではないの」


「まぁまぁ…ぅうぅ…」


「あら、泣いてしまったわ、仕方ないわね」


イリスはマリーを抱くと歌い始める。イリスは魔人とセイレーンのハーフ、その歌声は美しくマリーも泣くことをやめ、聞き入っている。


「あぅ、あぅー」


「お腹が空いたのかしら、確かヤックルの乳があったわよね」


「小さい体で良く飲むわね、あらオムツも変えないといけないじゃない、まったく本当は貴方に構っている暇など無いのですから、感謝なさい」


といいつつ、せっせと育児をするイリスだった。






「おいーす、マリー遊びに来たぞー」


ベールバティがいつものように俺の部屋を訪れた。そう言えば俺の事はパパ、イリスの事はママ、ゼルはじぃじと呼ばれているが、ベールバティはなんて呼ばれているのだろう。


「ベールバティ」


っえー!!めっちゃネイティブなんですけど!?


「おいベールバティなんでお前だけそんなきちんと呼ばれてるんだ」


「なんでって、僕が教えこんだからさ」


人間の赤子が教えたところで直ぐに話せるとは思えないのだが。


「その、なんだ。もう少し家族的な呼び方の方がいいのではないか?俺達もそう呼ばれているのだし、お前だけ名前だとなんかおかしくないか?」


「そうですか?ではなんと呼ばせましょうか」


「お姉ちゃんなんてのはどうだ」


「お姉ちゃんかぁ、言ってごらんマリー」


「おねぇちん」


お姉ちゃんのが簡単だと思うんだが…。


「分かりましたマリオン様、しっかりと調教しておきます!」


「う、うむ」


「さぁ言ってごらん、お姉ちゃんだ」


「おねち」


「違うぞ、ちゃんと言えるまでこうだからな!」


「あぅぅ…」


「…心配だ…」


コンコン


「入れ」


「失礼します」


ドアが開くとまるで人形のような少女が立っていた。黒いドレスに身を包みこちらに礼儀正しくぺこりとお辞儀をする。


「帰ったのかベルベット」


「はい、南の魔人の偵察を終え帰還致しましたわマリオン様」


「よー、ベルベットじゃない久しぶり」


「貴方は変わりはないようねベールバティ…とそれは何?」


「マリーだよ」


「マリー?また貴方はそんなペットを拾ってきて、どうせマリオン様に内緒で拾ってきたのでしょう、全く本当に貴方は変わってないわね」


「違うんだベルベット、マリーはイリスが拾ってきて俺が世話をみている」


「そ、そうだったのですか、それは失礼致しました。お詫びに私の人形をプレゼントしましょう」


ベルベットは人形使い、無尽に造られる人形を手足のように扱うパペットメイカーだ、また自ら造りだした人形以外にも、()()()()()()()()()()()()()ならばいのままにできる。しばらくは南の魔人の偵察にでいってもらっていたのだ。


ベルベットはマリーにクマのぬいぐるみを手渡す。


「あーっ!あーっ!」


「喜んでくださって何よりですわ」


「ずるいぞベルベット僕にもくれよ」


「貴方は直ぐに壊すのであげません」


「なんだよ、今度は大事にするからさぁいいだろう?お願いだよー」


「全く仕方ありませんね」


ベルベットはほかの魔人と違い、常識がある方だと思う。人間を下に見る事はあるが、それ程無下に扱ったりもしないからだ。


「ベルベット疲れただろう、休むといい」


「はい、そうさせていただきます。あ、それとご報告があります。南の魔人が近いうちに会いたいとの事ですが如何でしょうか」


げ、南の魔人か…、実は南を支配する魔人は幼なじみで昔はよく遊んでいたのだが、正直苦手なのだ。


「分かった。歓迎すると伝えておいてくれ」


「かしこまりました」


ベルベットは鳥のような人形に手紙を括り付けると、空へと放った。


「では私は少し休養をとらせていただきますわ」


「あぁ、御苦労だった」

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