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パンドラの箱




 詳しく聞かなかった。

 聞いたところでどうしようもないからだ。






 彼らのベースは、私と同じような人間らしい。だがいつしか、優秀さを追及していくうちに無駄なものをすべて捨てていったらしい。勿論、彼らには感情はあるが、激しい起伏のようなものはないらしい。


 いつしか、子孫はデザイナーチャイルドとして遺伝子を掛け合わせ、種として優れたものだけを残していった。

 それが、何代、何十代、何百と続いていく。そして、彼らが生まれた。



 容姿も知能も優れた選ばれた者たちの星。他の星といざこざはあるものの戦争は遠い昔になくなったらしい。

 だが、すべてを捨てたとはいえ人間の醜い部分は僅かに残る。それはなくなりはしなかったらしい。



 嫉妬、妬み、恨み。怒り、傲慢、差別。

 火種はいつも転がっていたのだろう。その美しい星にも。





 彼らは星は王政だった。

 優秀なもの中の優秀な者を王族として、その王族達がまた遺伝子を組み換えて子孫を残していた。それで、すべて上手くいっていた。





 だが、そんな平和を望んでいない者もいた。

 その王族達の中で、権力争いが起きたのだ。




 どうやら神崎さんは、王族の一員だったらしいのだ。

 彼女は優れていた。しかし、争いごとを嫌い特権はすべて他の兄弟に譲り渡して辺境の土地を治めていたらしい。

 

 しかし、それすら気に入らない者がいたのだろう。






 王位を我が物にせんと、暗殺を企てたとして濡れ衣を着せられたのだ。彼女の周りの者全て反逆の罪で捕らえられ。弁明の余地も与えられず、粛正された。

 僅かながらの供を連れ、この地球に落ち延びたそうだ。




 戦争はなかった。

 けれど、富や権利を自分がより多く欲したもの達がいた。それゆえ、戦争は仕組まれた。望んでなかったが、誰だって無抵抗で殺されてたくはない。それ故、彼らは戦った。それ故、犠牲も出たそうだ。






 そんな話を聞いてみると、私の星も彼らの星も似ているような気がした。

 この地球も火種は転がっている。


 一つだけ違うのは、この地球はとても貧しい。お金がないということではなく、すでに人類同士で戦争する気力も体力もないということだ。

 星の寿命することが最も大切なことだった。







「協力はするけどね」


 りこは念を押した。


 そんな話し聞いてしまったら、帰らないほうがよくないと?と思わず口に出しそうになるのを堪える。

 いやいや、ハルちゃんと私の平和のためには帰ってもらわなくっちゃ。



「どうした?蒼りこ」


「その話は、あんまし聞きたくなかったなぁと思って」

「そうか」





 とりあえず、修理を進めよう。



 後のことは、私が判断できることではないだろうから。




「ねぇ、神崎さんはどうするつもりなのかな」

 ちらりとりこは祐希を見る。




「決めかねているように、俺は思う。置いてきた仲間も心配ではあるが、戻ったところでどうしようもないからな」



「そうでもないさ。たとえばこちらもシダが生きていれば反撃の余地もあるだろう。あいつのことだ、俺達より早くこの船に来てメッセージでも残してかもしれないぞ」




「いや、俺あいつは苦手だ」 

 祐希は渋い顔で唸った。






 




 







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