進化した人間
それにしても本当に驚いた。
本当に宇宙人がいるなんて。
だけど、それでも私が発狂しないのは、少なくとも彼らの人と?なりを知っているからだ。好きか嫌いかはさておいて、悪い宇宙人ではないはずだ。たぶん。
プレデターのごとく人間を捕食するわけではないだろう。たぶん。
優先するべきはハルちゃの生写真。じゃなくて、平穏な世界だ。
彼らが困っているのなら、できうるかぎり助けよう。
宇宙に帰れるように。
幸い私は、天才なのだから。
「なんだ。やけに積極的だな」
神室が眉を潜めた。
「積極的にならないと。いつ帰れるかわからないわよ。それとも、私がおばあさんになる頃までにのんびりやるつもり。とにかく、知りうる限りのデータを頂戴。スレイブに記憶するから。機材も地球のもので代用できる素材があるといいのだけど。とにかく、こんな危険な場所にちんたらいられないわ。さっさとデータを持って帰りましょう」
「なんとも頼もしいな」
「嬉しくないわよ」
ふと、りこは後ろが気になった。
「カナちゃんは、さっきから静かだけど?」
そう、祐希はあまり乗り気ではなかったのだ。
「勿論、協力はするさ。こいつとは長い付き合いだし。でもどっちでもいいなかとは思ってる」
「えっ?そうなの」
りこは意外そうな顔をした。
「故郷に肉親はいないから。冬子様のおそばならどこでもいいんだ俺は。こいつは、星に家族がいるんだよ」
静な廊下に声が響く。
「そ、そう」
「ねぇ、ところでどうしてあなた達はこの地球に来たの?」
素朴な疑問だった。
「それは、この星が軌道上で一番近かったから」
「ん~。じゃなくて、カナちゃん」
りこは困った顔をした。
「戦争だ。戦争が起こったからだ」
鋭い声が響いた。
それは神室のものだった。
「うそくさいわね。これだけ、文明が発達した宇宙人が戦争なんて馬鹿なこと」
神室が乾いた声で僅かに笑う。
「蒼りこ。君が宇宙人と呼ぶものは、進化した人間のようなものだ。たとえ、高度な知識や技術、身体能力を持っていてもいまだ未熟な部分もある。本当に馬鹿な話だ。いまだ醜い人間の傲慢な心を捨てきれずにいる」




