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うたたね




 白い。白い。部屋のなか。

 ただ真っ白いカーテンが揺れるのを見ていたの。




 その扉を開けたのはあどけない優しそうな人。

 はにかんだように私に向かって笑ってた。


「はじめまして、えっと、その。俺は君のお兄ちゃんです」

 私は、虚ろな瞳で彼を見た。


「私にお兄ちゃんなんかいたの?」


 そんなことは初耳だ。


「そうだよ。腹違いではあるんだけど、ほんとだよ」


 私は何も感じなかった。

 もう何も考えたくはなかった。




 帰れ。帰れ。帰れ。

 こんなやつは知らない。





 口に出したのか。顔に出てたのか。

 彼は開けた扉から一歩も中へは入らない。



「また来るね」

 そう言って彼は、帰っていく。


「りこちゃんのお兄ちゃんになれたらいいなと思ってる。明日も明後日も毎日来るよ」


 帰れ。帰れ。帰れ。



 私は、彼がとても嫌いだった。

 病室で一人、白い天井を見上げる。





 





「遅い」


「いってぇ!!!!!!!!」

 神室は、すっとんきょんな声を上げた。


 りこは、木の影から颯爽と姿を現した。

「これが、実弾だったらお前はもう死んでいてる」

「なんでやねん。それが、差し入れを持ってきた俺に対する態度か」


「えっ、差し入れ?くれるの有り難う」

 それを聞くとりこはコロッと態度を軟化した。




「りこちゃん、その弓矢どうしたの?」

 神室のケツに刺さった矢を抜きながら、祐貴はりこに聞いた。


「いやね、こんな寒くて暗い森に長いこと待たせられたら。なんだか、こわくなっちゃって、貰ったサバイバルナイフで木の枝を削いで、身を守る武器を作っていたのよ。射程範囲に入ったら私のスレイブが感知するようにしたし。だって、か弱い乙女だから」




「そ、そうだね」

「私なんて、天才級の知能とスレイブを操ることしかできない女の子だもの」





 パチパチと何かが跳ねる音がした。


「なんだ」

「あっ、木の枝に刺したマシュマロが焼けたみたい」

 一度やってみたかったのと言いながら、焚き火を囲んでマシュマロ串が刺してある。それを手に取って祐貴に差し出す。



「食べる?」

「あっ、うん」




「なにがか弱い乙女だ。キャンプ満喫してるじゃないか」

 蘇った神室が、りこに詰め寄ろうとする。




「あっ、そこは」

「んっ」


「熊が出たら危ないと思って落とし穴を」





 汚い低音が森に響いた。




「りこちゃん……」

「これも一度やって見たかったんだよね。まさかひっかかるとは」





 


 そのあと、急いで二人で神室を引き上げた。


「おい、コラ。碧りこ」

「ごめん、わざとだよ」

「おい」




「うそ、うそ。やり過ぎちゃったごめんね。なんかうたた寝してたら夢見が悪くって、うっかり」



 てへぺろとツインテールの美少女は可愛く笑った。














 







 














 







 








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