シダという男
薪拾いから帰ってきたハルは辺りを見渡す。
「あれ?神崎さんは?」
「ざんねん、ハルくん。神崎さんはトラブル処理だよ」
同じ班の女子が野菜を切りながらこちらを向く。
「そうなんだ」
僕はなんとなく思ってたのと違う。いや、違わないけど。もっと一緒に過ごせると思ったのにな。
「その分は、碧くんが頑張ってよね」
また別の女子が玉ねぎを僕に渡してきた。
「私、料理苦手なんだ」
えへへと苦笑いをする。
「いいよ。僕がやっとく。テントの方お願い」
「ラジャー」
食文化の簡素化のせいで、料理をするということは女性でもあまりなくなってしまったのかと少しの嘆きながら僕は玉ねぎをザクザクと切っていく。
最近の男性というものは、力がないのだろうか。
嘆かわしい限りだ。
「冬子様、我々と彼らの筋力は違います」
「声に出ていたか?」
「いいえ。表情に」
「そうか、すまない」
テントの組み立てを補佐してきた帰りである。
ジュリは冬子のあとに続く。
「いいえ。私は嬉しいです。シリウスでのあたなは眉一つ動かさなかったので、何もわからなかった。この星にずいぶんと馴染まれたようです」
「そうだな。いいのか悪いのかわからんが」
「たぶん良いことだと私は思います」
「ところで」
すっかり日が暮れて、暗くなる。
「母船に今頃戻って、収穫があるのでしょうか」
「まぁ、そうだな。船が無事ならばあの男の安否くらいは分かるだろう。律儀な男だからな」
「生きていると?」
「わからん。だが、生きていればあいつを筆頭に何人か同胞も見つかるだろう」
「勢力図が変わりそうですね。彼は穏健派ではないですしね」
「そうだな」
「死んでいてくれたほうが?」
「まさか。あいつは使える。生きていてくれるに越したことはないさ」
冬子は冷たい瞳で静かに微笑む。




