思ってたのと違う
順調にバスは目的地に着き、生徒は下車。
班ごとに並び生徒は担任の説明を聞きレクリエーションに移る。まずは、テントづくりと夕飯の支度だ。
日も暮れて来たことから、生徒は少し慌ただしく取りかかる。
冬子はクラスの第二班。碧ハルと一緒のグループになった。意図的にだが。しかし、思いそのほか彼と話すことは出来なかった。
「神崎さん、あっちの四班でトラブルがあったみたい。テントの組み立てが遅れているの」
冬子は、自分の班のカレー作りに取りかかるところだった。
にんじんを持ったまま止まる。
「いいよ、神崎さん代わるわよ私」
「そうよ、私達があとはやっておくわ」
同じ班の女子達がわらわらと集まってくる。
一瞬、冬子は無言になる。
「あ、有り難う。ごめんなさい、向こうの班を見てくるわ」
なぜだろうか。
せっかく意図的に同じ班になったのに、碧ハルと話せないのは。なぜだろうか。いろんな人から声を掛けられ忙しい。
クラス委員会なのは承知のうえだったが、キャンプという初めて体験からかいつも以上に頼りにされてしまっているような気がする。
「さらに実行委員なんてものやらなればよかった。とか思ってませんか?」
冬子は無言で隣を見る。
「ジュリか……」
「はい、私もご飯を焦がしてしまった班の手伝いを。冬子様の後ろ姿が見えましたので、声を掛けました。ところで、私達が実行委員を引き受けたのは行動の制限に自由がきくからです。それは最終日に宇宙船を調べに行くためです。碧ハルと交流を深めるのはついでですよ、冬子様」
「わ、わかっている」
「なら、よろしいです」
冬子は少しだけ罰が悪そうな顔をした。




