理不尽
ふと遠目に冬子は目を細めた。
「あれは何だ」
不思議そうな顔でジュリは首を傾げる。
「あれとは?」
そして、ジュリは冬子の視線の先を見た。
「あれは碧ハルですね」
「そうじゃない」
そう言われてしまいジュリは再び視線の先を確認する。どうみてもあれは、碧ハル。しかし、よくよく観てみれば隣には綺麗な長い黒髪の少女。たしかあれは、旭稜楓だっただろうか。
「旭さんのことでしょうか?それがなにか」
「彼女は違うクラスだか」
「そうですね。出発まで時間もありますからお喋りでもしに来たのでしょう」
そこには、楽しそうに何かを話している二人の姿がある。
「それでは、まるであの二人が友達のようではないか」
気に食わないとでも言うように、冬子の声には刺がある。
「友達ではないのでしょうか」
信じられないというような目をジュリは向けられた。
「なぜだ。違うクラスだぞ」
「なぜたと言われまして。まえにいろいろありましたので仲良くなったのでは?」
「助けたのは私だぞ」
「存じております」
僅かに場が沈黙する。
「では、私はなんだ」
「クラスメイトですね。同じ生き物係りの」
冬子は無言ながら理不尽だと思った。
いつのに友達とやらになったのだ。
どうすれば、友達とやらになれるのだ。
運動も勉強も出来るのにその方法が冬子にはわからなかった。
「冬子様?」
「ふん」
ちょうど、オリエンテーションの資料を持ってきた祐貴がそこにやって来たのでボディブローをかます。
「な、なにゆえ」
クリティカルヒットしてしまい青い顔で腹部をおさえ祐貴は膝を崩した。
「許せ、祐貴。少しばかりイラッとしたことがいましがたあったのだ」
「おお、イエス。マイロード」
許せと言われれば、許すしかないが。
理不尽。
あまりに理不尽とその時、祐貴は心の中で思っていた。




