天誅
放課後、資料室で整理をしていると勢いよく扉が空いた。
ババーン!!!!!!
「んっ?」
神室は思わず、顔を上げる。
「話しは、聞かせてもらったぜ。こそこそ、りこちゃんと会っていたなんて言語道断。そのうえ、オリオンが喋れる猫になっちゃって。おてんとさまが、許してもこの俺。祐貴要が許さないぜ」
オリオンを肩に乗せながら、祐貴はかっこよくポーズを決めた。
「月にかわってお仕置きよ」
「なんだそれは?」
「知らないのか。昔、この星でやってたアニメだよ」
祐貴は、憤慨した。
「バレてしまっては、しかたがないな」
「あのな。俺だから良かったももの、打ち首獄門だぞ」
「なんだそれは?」
「時代劇だよ。知らないのか」
「知らんな。だが、オリオンのことはすまなかった。謝る。責任は取って必ずもとの猫に戻す」
祐貴は顔をしかめる。
「ああ、そうかい。じゃあ、りこちゃんを巻き込んで宇宙船を修理する計画は?」
神室は答えない。
「いいか、異星人を巻き込んでこんなこと。冬子様に知れたら裏切りだぞ。その場で殺されても文句は、言えまい。お前だけじゃなく、不用意に仲間も命も危険にさらしたことになる。わかってるのか」
そう言って、神室に詰め寄る。
「わかっているさ。浅はかな行動ではあると、だが。故郷に帰りたいとは思わないのか?」
悲鳴のようなか細い声が聞こえた。
「たとえ、もしも戻れたとしてもそこに仲間はまだいるのか?俺は冬子様と同じで此処で体制を立て直すことに賛成だ。最悪、此処で一生過ごすことになってもいたしかたないと思ってる」
淡々と祐貴が返す。
「どうしても、それでも俺は故郷に帰りたい」
あそこには父さんと母さんがいるんだ…」
苦々しげに唸る。
「でも、わかってるさ。自分でもおかしなことをしていると。冬子様に報告するならしてくれ。罰なら受けよう。それだけのことをした」
諦めたような表情で神室は小さく笑う。
ポコンっ。
新聞を丸めて作った剣のようなもので、祐貴は神室の頭を軽く殴った。
「天誅」
「俺は怒っている。冬子様の意向が一番だ。だが、お前のことも大切な仲間だと思っている。なら、その計画。俺も手伝ってやる。りこちゃんも心配だしな。バレたときは、俺も一緒に罰を受けてやるよ」
神室は、メガネを直しながら祐貴を見た。
「お前、馬鹿なの?」
「馬鹿言え、俺は複数スキルの使い手。スーパーエリートだ」
祐貴はふんぞり返って、天井を見上げた。




