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どたばた
彼女の腕に抱かれることしばらく。
僕は我にかえる。
「か、神崎さん。あの下ろして貰ってもいいかな?」
神崎さんは静かに僕を地面におろす。
「そうね」
「有り難う」
ハッと僕は思い出した。
「旭さん!」
静かに冬子は答えた。
「大丈夫。あっちにはジュリが走ったから」
驚いて僕は、屋上を見上げた。
よく見えないが、フェンスから引き上げられる旭さんの姿が確認できた。
「よ、よかった」
ね、神崎さんと振り返ったところ。
僕は頬っぺたを思い切りつねられた。
「いたたた」
「よくないわ。まったくよくないわ。あなた達はひ弱なのだから、落ちたら死んでしまっていたところよ」
美しく瞳は、まったく笑っていなかった。
「ご、へんなはい」
頬っぺたをつねられたままハルは謝った。




