最後に
互いに固く握りしめていた手をパッと離した。
代わりに互いに目で強く見つめ合った。
体感ではゆっくりと僕の体は宙に落ちていく。
まさに、真っ逆さまって感じだった。
これが、走馬燈かと思いながら。
と、そんな感傷に浸ってる場合じゃないな。
僕は意識を集中させて、手で四角形をなぞる。
とにかく強度を意識した。
骨が折れたって構わない。
生きていれば、構わない。
透明なシールドが形を表す。
落下していく僕はそれを急いで、地面に放つ。
「スレイブ!!!!!!!!」
成功したと思ったシールドは、存外弱かった。
パリンッ。
小さい音と共に僕の加速した身体が体を貫く。
まるで、水辺に張った氷のようだった。
「くそっ」
やはり焦りで集中できず演算式が甘かった。
しかし、ゆっくりしている時間がなかったのだ。僅かに落下スピードを長くはしたが。
あとは。
「お願い!!!!旭さん!!!!!」
「あとはお任せなさい」
屋上から落ちそうなくらいに身を乗り出して、旭稜楓は叫んだ。
そして、手を下に差し出した。
「スレイブ!スレイブ!スレイブ!!!!!!!!!!」
僕の真下にフィールドが現れた。
しっかりと均等のとれた代物だった。
しかも、三枚きっちり完成させていた。
僕は、自分のスレイブとの違いに。いや、実力差に驚いた。
さすが、神崎さんと張り合うだけの強者だった。
「いっ」
トリプルパンチで、痛みが体にに伝わった。
強度も十分である。
地面まであと数メートル。
「駄目か」
あと、少し速度を殺し切れなかったようだ。
頭の上から旭さんの声がする。
「碧さん!!!!!!!!!!」
僕は、目を固くつぶって衝撃に備えた。
打ちどころが悪くなければ生きてるかも。
死にたくないな。
もし、死ぬなら最後にもう一度。
大切な妹の顔が浮かんだ。
あと、オリオン。
そして、あの美しい瞳の…………。




