危機
多目的の教室が空いていたいたので、そこに皆を集めた。
淡々と当日の予定と流れを告げて、冬子は息を吐いた。
「決行はオリエンテーション最終日。夜の12時だ」
透き通る青い瞳が告げる。
「さて、話はこれで終わりだ。昼休みも終わりなので、早く教室に戻るとしよう」
冬子は椅子から立ち上がった。
そこで、ジュリが椅子に座ったまま窓の外を見ているのに気が付いた。
「どうした、ジュリ?」
冬子が声を掛けるまえに榊が尋ねる。
「いや、外が騒がしいと思ってな」
「そうか?」
「何か声が聞こえるような気がするわ」
「祐希、お前は何か聞こえるか?」
今度は榊が祐希に尋ねる。
「俺はよくわからないが」
首を傾げながら、祐希は窓の方に近づき鍵を開けた。
一瞬、冷たい風が教室に入る。
「んっ?」
そして、祐希は窓の外を覗き込んだ。
外で女の子達がキャーキャー叫んでいた。
いつもの光景だった。
「どうした?」
「別に、モテる男にはよくあることさ」
そして、榊も窓の下を覗く。
確かに、数人の生徒がキャーキャー叫んでいた。
「でも、何かおかしくないか?」
「そうか?」
榊は顔を顰めた。
なぜなら、彼らの顔はなぜか青ざめているようで。なにより必死の形相だった。
祐希がのんきに手を振ると、必死で何か叫んでいた。
「えっ、上?上ってなんだ?」
「どうした?」
「なんか、うえ。うえ。って言っている気がするぞ」
「なんだと?」
榊は身を乗り出し、上を見た。
なにもない。
少し、視線を変えて斜め上の方を見た。
遠くの校舎の屋上の上に人影が見えた。
落ちそうになっている。
そして、誰かが必死に引き上げようとしているが、限界そうな様子だった。
「やばいな。あれは」
横で祐希も身を乗り出す。
「うっわ。落ちそう。誰だよ、落ちそうになってる馬鹿は」
「あれ、使ってみろよ。お前の微妙スキル。ズームとか拡大とか」
「微妙言うなよ」
一瞬眼球を膜を強化して、遠くの物体をとらえるのだ。
ちなみに一回使うと、半年間使用不可だ。
「スキル、ズーム!」
「で、誰だったんだ?」
なぜか祐希は青ざめた顔を榊に向けたまま答えなかった。




