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うららかな日に




 廊下の曲がり角で、ハルはぶつかりそうになった。



「わっ、ごめん」

 ふわりと柔らかい水色の髪が揺れる。

 僕は少し動揺した。





 落ち着いた声が帰ってくる。

「大丈夫、気にするな」

 

 いつも美しい少女が僅かに微笑む。




「神崎さん、いまから教室に戻るの?」

「いや、これからまだ用事がある。それがどうかしかた?」

「あっ、いや遠坂も休みだし屋上でお弁当食べようかなと思って。向かう途中だったんだけど、もしよかったら一緒に昼食をとか………」



 なんとなく言わんとしていることは、冬子にもわかった。



「嬉しい申し出だが、すまない。オリエンテーションの準備について話し合いをしなければならないのだ」

「そ、そっか」



 僕は少し下を向いて頷いた。

 そして、顔を上げる。



「残念だけど、じゃあまた今度」

「ええ。でも、機会があればまた誘って欲しい」




 軽く手を振りながら、遠ざかっていく碧ハルの姿を見ながら、内心名残惜しかった。

 それでも、自分の役目というものがあるので仕方がないことだと言い聞かて、冬子はその背中を見送った。













 

 屋上の扉を開く、涼しい風をハルは体に感じた。


 

 屋上は解放されているが、この学校は進学校なので教室で昼食を済ませ次の授業の復習をする生徒が大半だ。あとは、たまに食堂とか購買とか。


 わざわざ。距離的に遠い屋上で昼食をするような生徒はあまりいない。

 たまに一人、二人他の生徒もいるが。ほぼほぼバッテイングすることもない。







 

 そんなことは稀だ。





 黒い美しい艶のある黒髪が揺れる。

 すらりとバランスの良い体の女性が屋上の柵を乗り越え向こう側にいる。




 んっ?

 んんんんん?



 ハルは一瞬、思考回路が止まる。


 そして、ゆっくり彼女に近づく。



 あれ。

 

 これは、あれなのか?

 テレビとかでよく見るやつ。



「お、お嬢さん。は、はやまって行けない」


 震える声でビビりながらハルは彼女に近づいた。




 少女がその声に気付いて柵の向こうから振り返る。





 

 綺麗な翡翠の瞳の美少女。

 旭稜楓だった。












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