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 ヒュツと空気が僅かに揺れて、振動する。



「おっ」

 それを難なく神室は避ける。

 そして、めんどくさそうに後ろを振り返る。



「なんだ。なんのつもりだよ」


 そこには、機嫌の悪そうな表情の祐貴が立っていた。

「しかも、回し蹴りとか。俺か相馬じゃなかったら大怪我だぞ。しかも、学校の廊下だぞ」



「そんなの知るか。それより、お前昨日はどこに行ってたんだよ」

「いや、別に」


 ムッとして祐貴は顔を膨らませた。

「いや、嘘だ」

「別にいいだろ」


「いや、よくない。お前、昨日りこちゃんに会いに行っただろう」

 神室は顔に少し難色を現した。


「お前に関係なんだろう」

「いや、関係あるね。碧ハルに言われたことを忘れたのか。迷惑だから、家に来るのは一週間に一回って言われてただろう」

「…………碧ハルには会ってないぞ」



「じゃあ、りこちゃんに会ってたんだな」

 祐貴は神室の胸倉を掴む。

「いや、ちょっと話をしただけだ」

「ほら、やっぱり会ってたんじゃないか」

「いや、ちょっとスレイブ関係の話をしただけだ」



 祐貴は手を緩めて、制服を離した。

「俺は、関心しないな」

 そう吐き捨てる。

「そうやって、地球人を巻き込むのは。利用しているみたいで嫌だ」

 


 今度は、神室が静かに言い返した。

「利用して何が悪い。俺達はこの星の人間じゃないんだぞ。それに、碧りこは地球人にしては優秀だ。取れる情報は絞りとる。お前こそ、あんまり地球人となれ合うなよ」



「俺はお前のそういうとこは好きじゃない」

「別にいい。もともと冬子様をはじめ俺達は、合理的に作られているんだ。感情の起伏はほとんどない。感情より理性の強い人種だ」



「でも俺は嫌だ。俺達には敵がいるんだ。りこちゃんが危ない目に合ったら俺は許さないからな」

 あまりに強く睨まれたもので、神室は少しばかりひるんだ。


「まぁ、ほどほどにしておく。お前だってわかるだろう。碧ハルの妹に何かあったら、俺が冬子様に殺されてしまうからな。冬子様の意向が一番だ」


「それはそうだな」


 渋々と言った感じで祐貴は納得した。





「でも、一人でりこちゃんに会ったのはずるいぞ」


 ブスッと顔を膨らまて、祐貴はとっとと廊下を後にした。







 一人残された神室は溜息をついた。


「おいおい。まさか、あいつ地球人なんかに惚れたとか言わないよな?」




 


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