そのまた裏
いつもの夕食が終わり、ハルはソファーのうえでにやけていた。
「ふん、ふふん」
嬉しそうに写真を眺めながる僕を妹は呆れたように見ていた。そして、オリオンは不思議そうに見詰めていた。
「ハルちゃん、嬉しそうだね」
「えっ?わかる?」
大会のあと、僕は神崎さんの写真を遠坂から貰いご満悦だったのだ。
「いいなぁ」
小さく妹がこぼす。
「写真がか?神崎さんの?」
「んっ、じゃなくてね」
妹が何か言いたげに口を開き、やめた。
それが、単に言うのをやめたのか、異変に気付いてやめたのか。
どちらだったのかはわからない。
「ハルちゃん。変な音が聞こえるね」
「そうか?」
「うん。小さくコンコンって音がするよ」
妹がベランダの方の窓の近くに歩いていく。
「鳥かな?」
「どうかな」
そう言って、妹はベランダに出た。
「どっだった?」
「あ~、うん。気のせいだったよ、ハルちゃん」
「そっか」
「スレイブ」
「今、なんか言ったか?」
妹が何か口にしたみたいだったが、バサバサという音にかき消されて聞こえなかった。
「今の音は?」
「なんか猫が木から落ちたみたい」
「えっ?大丈夫か??」
「大丈夫、大丈夫」
妹はベランダを閉めて、リビングに戻ってきた。
「ねぇ、ハルちゃん。私、ゼリーが食べたいな。だからコンビニに行ってくるね」
可愛い妹の美しい笑みがそこはあった。
「そうか。いいぞ。夜だから気をつけてな」
「うん。ハルちゃんの分も買ってくるから少しだけ遅くなるね」
そう言って出掛けた妹の背中を僕は見送った。




