オリエンテーション
穏やかな昼休みにおにぎりを頬張りながら遠坂は、顔を顰める。
「お前の妹おかしいぞ」
「なんだよ。妹はいつも可愛いぞ」
遠坂はさらに顔を顰める。
「甘い。お前は妹に甘すぎる。そして、このおにぎりも甘すぎる」
「そうか?」
ハルは弁当箱のおにぎりを一つ手に取って食べてみる。
「ああ、まぁ。ちょっと甘いな。塩と砂糖を間違えたんだろう?」
「いやいやいや。少女漫画じゃあるまいし。ベタすぎるだろう。米に対する冒涜だろ」
とりあえず、遠坂は米を飲み込んで話出した。
「ところで、そろそろアレだな」
「アレ?オリエンテーションのことか?」
「心躍るなぁ」
「そうか?ただの三泊四日の勉強合宿だぞ」
「いやいや、合宿のしめにはな。キャンプファイヤーを囲んだフォークダスンスをしてな。そこで俺は今年こそ彼女を……」
「彼女を?」
ハルは聞き返す。
コホンッと小さく遠坂は咳をした。
「いや、彼女の話はおいておいてな。そのオリエンテーションの場所が、なんとあのウェールズの近くなんだよ。凄くないか?すごい偶然だよな」
興奮気味に遠坂は喋る。
「でも、関係ないだろ。僕達は勉強にいくんだ」
「いや、でもちょっと抜け出してさ。墜落した宇宙船を探しにいこうぜ」
「いかない。見つかったら単位に関わる。それに宇宙船なんてないから」
「政府が情報を隠蔽してるんだよ」
「あっそう。でも、僕は行かないぞ」
そんなことをごちゃごちゃと話ながら、頭の中はすでに今日の夕食のメニューを僕はぼんやりと考え始めていた。
後ろの席から、机に座る神崎さんの後ろ姿が見えた。水色の美しい髪が揺れている。
オリエンテーションか。
キャンプファイヤーとかフォークダスンスを神崎さんと踊れたら楽しいだろうな。なんて、僕は考えつつあることを思っていた。
この合宿でもう少し仲良くなれたら、僕は彼女と友達になりたいと思っていた。
もちろん妹にも内緒である。




