カレーライス
よし。
今日はカレーライスにしよう。
ハルは奮発して、コンビニの野菜コーナーにある人参を手に取る。
こないだの玄関爆発騒動で、臨時収入ができたのだ。
近年日本の食文化は低下して、格安のレーションが主流になった。野菜、肉など固形物やデザートなのは贅沢品。毎日口に出来るものじゃない。
だが高価とはいえ、買えない金額でもない。
ハルは、家計をやりくりして妹にデザートを買っていた。
いつかは、カレーライスとかハンバーグとか食べさせてあげたいと思っていたのだ。
その夢がついに!!!!!
カレールーを手に取りながら、ハルはいつか本で読んだカレーライスの作り方を復習していた。
「りこ、喜ぶかな」
軽い足取りで、ハルは店を出た。
そして、見知った顔に出会ってしまう。
見なかったことにしよう。
「おい、偶然だな」
「いや、そんなわけないだろう?」
うっかりハルは反論してしまう。
「なにしてたんだ?」
「コンビニで買い物だよ。祐貴くんは、何してたの?」
「別に、碧ハルを見つけたからついて来たんだ」
「ついて来なくていい」
ハルは呆れた。
「今日はオリオンの餌とかではないみたいだね。じゃあね」
ちょっぴりハルは意地悪をしてみた。
そう頻繁に家に来られては、落ち着かない。それに、玄関爆発事件からまだ日も浅い。こないだやっと、掃除が終わったところだ。
「最近、俺は家に行ってないぞ」
「いや、そんなに来なくていいから。餌もストックあるよ」
しばらく掃除をしていたので、客を上げれる家ではなかったのだが……。
そういえば、祐貴くんはもう一週間くらいうちに来てなかったな。
などど、思いながらハルは顔を上げた。
「え~」
ハルは消え入るような声を上げた。
目の前で美少年が、涙をポタポタ落としながら泣いていたからだ。
想定外過ぎてハルは焦る。
「ごめん、ごめん。言い過ぎたよ!!!!」
あああああ、僕なんで謝ってるの????????
「俺だって、りこちゃんと遊びたいのに。碧ハルばかりずるいぞ」
涙目で僕はキッと睨まれる。
ええええええええ???????
だって、僕はお兄ちゃんだもの。
「ごめんって、じゃあ来る?カレー食べるか?」
「…………行く」
あああああああああああ。
もう、僕のお人よし!!!!!!
仕方なく、ハルは祐貴と並んで家に向かう。
「持つぞ。それはなんだ?」
「ああ、人参とジャガイモと玉ねぎだよ」
「なんだ、それは?」
祐貴くんは少し難色を示す。
「これにお肉とルーを入れてカレーライスを作るんだ」
「カレー?何のために?」
「いや、食べるために」
「レーションでよくないか?」
「よくない。食育は大事なんだよ」
ハルは祐貴にビニール袋を渡しながら、力説する。
「美味いのか?」
「作ることに意味があるんだ」
ちなみに僕もカレーライスとやらを食べたことはなかった。
「妹よ、いま帰ったぞ」
僕は祐貴くんを連れて、新品の玄関のドアを開ける。
「しかも、おまけつきだぞ」
「お邪魔します」
靴を脱いで、ハルのあとに祐貴が続く。
「ハルちゃん、おかえり」
僕の可愛い妹が出迎えてくれる。
何故か、眉毛が少し歪めてこちら伺っている。
んんんんんんん?????
「ごめん、ハルちゃん。なんかついて来ちゃったみたい」
あああああああああああああああ。
変なのまた増えてる!!!!!!!!!
インテリメガネの美少年の姿が見えて、僕はフローリングの廊下にスライディングしてしまった。
ズコーッ!!!!!!!!!!!!!!




