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世の中金




 ハルは、テーブルにコップを置いた。



「粗茶ですが」

 コトンッと小さい音がする。

「どうも……」

 神室は頭を軽く下げる。


 コホンと咳払いをして、ハルは席に座る。

「ちょっと言いにくいのですが……」

 ハルは言葉に詰まる。

 しかし、言わなくてはならない。

「玄関はどこへ?」

 素朴な疑問だった。


 僕は二人の顔を見る。




 

 りこが不機嫌そう口を開く。

「泥棒が……」

「泥棒はあそこまで破壊しないよね。泥棒の意味ないじゃない?」

「すまない。俺が悪いんだ」

 僕は彼を改めて見る。


「俺は、神室聖だ」

「そ、そうですか」

 誰????

 いや、ちょっと見たことあるような???


「神崎冬子様の親衛隊だ」

 ハルは納得した。

 なんか見たことあると思った。


「そうだな。祐希要の友人とでも言ったほうがいいか?」

「お帰り下さい」

 間髪入れずに僕は答える。


「えっ」

「お帰り下さいませ」

「何故だ?」

「なんとなくに、厄介ごとに巻き込まれそうなので。嫌な予感しかしない」

 いや、もう巻き込まれているが………。


「いや、待て。弁解させてくれ。俺は、ただ冬子様のことが心配で偵察していただけだ。あわよくば、碧ハルを亡き者にしようと思っていたことは謝る」



 携帯に僕は手をかけた。

「もしもし、警察ですか?」

「いや、待て、待て、待て」

「いや、待てないです」

 僕、命狙われてますやん。



「これを」

 神室は何やら胸元から紙をスッと取り出した。

「これが何か?」

 それをテーブルの上に置く。

 ボールペンを取り出してサラサラと数字を書いた。


 僕はそれを覗き込む。

「なにこれ?」

「小切手だ。玄関を壊したのは、俺に責任をがあるからな。修理費だ」

「いや、お金なんて」

「そうよ。お金でなんでも解決できると思ったら大間違いよ」

 大ブーイングである。


「玄関の修理もこちらで今すぐ手配する。明日、学校に行って帰ってくるころには直っているだろう」

「いや、だからお金の話じゃ」

 神室はクイッとメガネを掛け直す。

「すまない」

 そして、ふところから再び紙を取り出す。

「あと、これはそちらの妹さんに迷惑をかけた慰謝料だ。これで好きなものを買うといい」

「いや、お金なんて」

「そうよ。お金でなんでも解決できると思った大間違いよ」

 僕と妹は憤慨しつつも、紙をチラ見する。





 ゼロ一つ多い!!!!!!!!!!!!!

 そして、僕と妹の心は一つになる!!!!!!!!




「お金なんて貰っても困るが、玄関がないのも困るしな。気持ちならしかたない」

「そうね、お金なんて困るけど、どうしてもというなら気持ちだし受け取ってあげなくはないわ」


 僕ら兄弟は綺麗にお金の前に転ぶ。


 すべてをなかったことにした。


「すまない。あとこれは俺のポケットマネーなので、冬子様には内密に」


 兄妹は二つ返事で頷いた。















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