要塞都市アトランティス
世界は環境汚染の影響を受け脆くなった。
物資の供給を効率化するため一点集中型の特化都市が増えた。都市部と地方都市では貧富の差が開き。都市に移り住む者も増えた。
だが、ことはそう簡単ではない。適正能力とお金が必須となってくる。みな、生き残るために藁にもすがる思いで這い上がってくる。僕もその一人だ。
要塞都市は、特化都市の中でも異質なそんざいだ。政治、経済、軍事、学問、全てを芸術。全てを一つ都市に集中。そこを基盤として、地方都市を運営している。なぜ要塞?がつくのかいまだにわからない。
ここはすべて環境が整えられている。おそらく、ここがいつか日本の最後の砦となるだろう。
そして、いまさらなのだが、僕の通う学校は日本の学力、頭脳を誇る教育機関だ。この学校から、この国のトップやそれに準ずる者達を多数を送り出している。そんな国の基盤として動いている都市は、こう呼ばれている。
「要塞都市アトランティス」
穏やか日差しの日曜日。僕は妹と植物園の前に来ていた。
凄く緊張する。植物園とは言っても汚染の進んだ環境だ。道端に花など咲くはずもなく。それを、高度技術で再現している凄い施設だ。一般人がおいそれと訪れることは出来ないのだ。
「ハルちゃん」
「うん、すごいね」
りこは、大理石のような素材できた廊下を歩きながら感嘆の声を漏らした。
「ところで、待ち合わせってどこだっけ?」
可愛いワンピースをひらめかせ、妹は僕を振り返る。
「あっ、ええっと。植物園の入り口?近くにいるってって言ってたな」
「こんなに人が多いのにわかるかな?」
「そうだな。別の場所の方がよかったかな」
だが、そんなことはなかった。
あたかも、それは一枚の絵画のように美しい。
清楚な白いブラウスとふわりとしたスカート。風に流れる美しい髪。彫刻ように美しい体つき。陶器のような肌。
そんな美少女の横には、壁にもたれる背の高い少年。すべてのしぐさがモデルのように洗練されていいる。長い睫毛に、整った顔。それでいて男らしさも感じる。ザ・イケメン。
「すごいね、ハルちゃん」
「そ、そうだね」
僕の笑顔は引きつる。
話しかけにくいな。ちくしょう。
「行かないの?」
「行きたいんだけど」
足が動かない。こんなちんちくりん?な普通な僕が声を掛けてよいのだろうか?僕は悩んだ。
「碧くん」
「りこちゃん」
そして、二人が駆け寄ってくる。
うわぁぁぁぁぁぁ。
道行く人々に、注目を浴びて僕はいたたまれなくなった。
りこは緊張気味に、神崎さんに挨拶をした。
「こんにちは。碧りこです」
ペコリと頭を下げる。
「はじめまして、神崎冬子です。よろしくね、りこちゃん」
神崎冬子は、よそゆきの顔で微笑んだ。
「りこちゃん、おはよう」
そわそわと祐希くんが話かける。
「おはようございます、祐希さん」
なぜか、りこもよそゆきの対応する。
おい。お前はそんなあからさまにしょぼくれるんだ?
「じゃ、じゃあ。行こうか」
僕らは、植物園の中に入る。
「どこから見よう」
とはいえ、僕もりこもワクワクして、楽しそうにパンフレットを広げる。
「じゃあね、りこはここがいいな」
「そうかな?僕はこっちのサンプル標本からまわりたいな」
ん~。でもやっぱり妹を優先させよう。
「わかった。じゃあ、りこの行きたいとこから……」
ガシッ。
「はっ?」
僕は腕を強く掴まれた。
見上げると、それは神崎さんだった。
「なら、碧くんは私と回りましょう。私もサンプル標本に興味があるわ」
「いや、僕はりこと………」
りこを見ると、妹も困った顔をしていた。
「なら、俺はりこちゃんと庭園から行くさ。売店でアイスクリームも買ってあげるよ。行こう」
「いや、私はハルちゃんと………」
妹もガッシリと祐希くんに手をつながれていた。
「えっ、僕はどっちでもいいから。みんなで」
というかさ、君たちのデートなんだけども?
「さっ、行きましょう。碧くん」
「えっ、ちょちょちょ」
力強いな、神崎さん。
僕は、引きずられるように神崎さんに連れて行かれる。
「ハルちゃん~!」
「りこ~!」
そして、祐希くんも力持ちなのは言うまでもない。
非力な兄と妹は、腕力によって引き裂かれた。




