表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/121

攻防戦



 

 新聞、宗教の勧誘、セールスなどなど。

 僕は断固として断ることにしている。


 そして、それは今日もやって来た。





 僕は玄関のドアの向こうの人物像を確認して、光の速さでドアを閉める。

「間に合って……」

 あと一歩というところで、阻まれる。

 僕は玄関のドアを閉め……。られずにいた。

「だから、毎日毎日なんなのさ」

 静かな攻防戦が幕を開けた。



「だから、間に合ってるって」

 ギギギッと閉める力と開けようとする力で変な音が出ている。

「だから、俺は新聞でも勧誘でもキャッチセールスでもないだろうが」

 相手も必死だ。

「すいません。キャットフードも間に合ってるんです」

「残念だったな。今日はキャッフードではない」

 イケメンが、キラリと笑顔を作る。

「じゃあ、何の用なの?」

 ハルはイライラしながら聞き返す。


「いや、用ってほどじゃないんだが。たまたま通りかったのでな」

「いや、マジでお帰り下さい」


「ハルちゃん、意地悪しないで入れてあげれば?」

「ニャッ」

 撃退に手間取っていると妹とオリオンが覗きにきた。妹とオリオンはこいつに甘かった。なんせ大事な金、いや餌鶴だから。

「はいはい、わかったよ。僕の負けだよ」

 仕方なくドアを開ける。すぐさま祐希くんは中に入ってくる。


「お邪魔します」

 本当に邪魔ですが。爽やかな笑顔で祐希要は、微笑を浮かべる。

「かなちゃん、お茶入れるから。手を洗ってきてね」

 妹に頷くと、祐希くんは奥へと消えて行った。




「我が妹よ……。甘やかしたら駄目だぞ」

「はいはい。でもオリオンのおやつも持って来てくれるし。お茶ぐらいはね?経済的に助かってるし」

 可愛い妹は、クリッとした瞳で僕を見る。


「いや、そうだけどね。あれは、神崎さんの彼氏なんだよ。なんで、頻繁に訪ねてくるの?気まずいよ」

「さぁ?暇なんじゃないの」

「いや、だから何で?」

「んっ~、じゃあ。ハルちゃんに何か話があるんじゃないかな」

「えっ、ないよ。ないない」

 ハルはブンブンと首をふる。


「そうかなぁ?たとえば、神崎さんと喧嘩とかして……」

 ドキッ。

「クラスメイトのハルちゃんになんとかして欲しくて来てるとか」

「ううっ、なんかありえるな。それは……」

 僕は憂鬱になった。

「僕、まだ失恋が癒えてないんだけど?」

「告白もしてないのに?大人になりなよ、ハルちゃん。あんな、顔面美形男に勝てるわけないんだからね」

「ごめんね。ふつうの顔で」

「そんなハルちゃんの顔が、私は好きだよ」

 りこはフフッと笑う。


 それは、けなしてるのか誉めているのか?





 妹は、綺麗な色の紅茶を入れてくれた。

 それを祐希くんは、嬉しそうに飲んでいる。


「で?」

「で?ってなんだ」

「何しにうちに?もしや、神崎さんの喧嘩とかしてないよね?」

「べ、べつに喧嘩なんかしてないやい」


 ツンデレか?

「ただ、ちょっと怒ってはいるがな」

 それは、喧嘩ですよ。


「仲直りしたら?」

「ど、どうやればいいんだ」

「謝ったり?とか?」

「もう、それはやった」


 妙な間があく。


「あっ、そう」

 恋愛初心者の僕には無理だわ。




 りこがパウンドケーキを持って、キッチンから出てきた。

「じゃあ、お詫びにデートに誘ったら?素敵なデートをして、美味しいものでも食べれば機嫌もなおるよ」


 ナイス。

 さすが、僕の妹だ。乙女心をわかってる。

「そうなのか?」

「女の子ってそういうものなの」

 祐希くんは何かを思案している。

「そうか、そうすることにする。どこにデートに行ったらいい思う?」


 妹はソファーに座りながら。

「そうだな。お洒落なカフェとか、映画館とか、美術館、植物園なんてのもいいかもね」


 それはいい。僕も、神崎さんと行ってみたい。なんてね。


「りこちゃんならどこがいい?」

「私?私だったら、植物園とか行ってみたいな。お弁当とか、持って」


 でも、こんな時代だ。

 映画館も美術館も植物園もエリート達のもので、僕達には手が届かなった。

 お金持ちの祐希くんはなんとも思わないだろうけど。




 ハルは小さくため息をついた。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ