表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/121

雷鳴






 おだやかなに流れる時間。

 就寝前のひとときをみな各々楽しんでいた。






 その空気を切り裂くサイレンが雷鳴のように鳴り響くまでは。











 ハルはテントの中で、遠阪とトランプをしていた。


「いや、マジで俺もう都会に帰りたいわ。ゲームはないし、コンビニはないし。虫はいるし。まぁ、空気は綺麗なのは評価するけどな」

 ぶーたれながら遠阪はトランプをひく。


「僕はけっこう好きだけどな。空が高いから星も素敵だと思うよ」

「晴れていればだろう。曇ってるじゃん」




 そうなのだ。空はいつの間にか雲に覆われて、満点の夜空は隠されてしまっていた。視界も悪い。そのせいもあるのか、宇宙船を探しに行くなどという奇行には遠阪は走らなかった。




 

 伸びた指からは、カードが引かれる。

 残ったのは、ジョーカーだった。

「はい。俺の勝ち。学校に帰ったらジュースおごりな」

「わかった、わかった」





 そして、僕は立ち上がる。

「おっ、どうした?」




「神崎さん、もう仕事終わったかなって」

「おっ、振られても頑張るね」



「ち、ちがうよ。もう暗いし、危ないから。ちょっと手伝ってくるだけだよ」

 苦しい言い訳をしながら、ハルはテントから出る。




 紫色の霧があたりに充満していた。

「えっ?」





 ミストの粒子が入らないように反射的にハルは口をふさいで、テントを締めた。心臓はバクバクと音を立てる。


「な、なんだよ」

 遠阪が目を丸くする。


「紫色の霧だ。こんな濃度、アトランティスでも見たことない」





 次の瞬間、全てを切り裂く警報が荒々しく鳴り響く。








 



 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ